赤字の札幌ドーム社長「プロ野球やらせてくれない」に「会社として終わってる」

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札幌ドーム(「Wikipedia」より/モンモン)

 札幌ドームにとってはプロ野球球団・北海道日本ハムファイターズの本拠地ではなくなり初の年度となった2023年度、純利益が6億5100万円の赤字になることが発表された。赤字額は当初の見込みから約3億6000万円膨らんだ。同社の山川広行社長は21日の会見でその理由について、「プロ野球をやらせてくれないのでね」「見通しが甘かった(という指摘には)には抵抗がある」と発言。これに対しネット上では「上から目線」「驕りを感じる」「(日ハムを)自分で追い出したんでしょ」「よくこんな発言できる」などと驚きの声が広まっている。

 01年に開業した札幌ドームは、経営安定化のためにプロ野球球団の日ハムを誘致し、04年から日ハムの本拠地となっていた。だが、札幌ドームは16年に日ハムから徴収する一試合当たりの使用料を値上げ。日ハムが札幌ドームに支払っていた使用料は1日あたり約800万円前後とみられ、球場内の広告料や売店など付帯施設からの収入もほとんどが札幌ドームの取り分となっていた。

 日ハムは札幌ドームに対し、使用料の減額や指定管理者制度(公共施設の運営を民間企業等に委託する制度)の導入などを提案してきたが、受け入れられず、16年頃から本拠地移転の検討を本格化。新球場の建設候補地として札幌市は旧道立産業共進会場(現ブランチ札幌月寒)、北海道大学構内、真駒内公園などを提案したが、日ハムは北広島市が提案する「きたひろしま総合運動公園」予定地の活用案を採用。日ハムは新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO(北海道)」を北広島市に開業させ、23年シーズンから本拠地を移した。

 日ハムを失った札幌ドームは苦境に陥っている。年間20億円以上とみられる売上を失い、イベント数の増加を狙い総額10億円をかけて「新モード」を設置したが、これまでに利用は3件のみ。また、命名権の公募を実施し、1年で2億5000万円以上、希望期間2~4年を条件として提示していたが、応募締め切り日までに応募はなく、募集は無期限に延長された。

「挑んだことに変わりはない」

 山川社長は会見で

「大きな経営環境の変化が現実のものとなった。厳しく受け止め、反省している」

としたうえで、赤字転落の原因について次のように説明した。

「やろうとしたことが思うように進まなかった。平日開催は頭の痛いところ。広告と平日ナイターがなくなり、収益を上げるのが難しい。平日にプロ野球をやれたらいいが、やらせてくれないのでね」

「思惑通りいかなかったのは事実だが、挑んだことに変わりはない。その辺をカバーして、24年度の黒字化を目指したい」

 では、具体的な黒字化の施策として、どのようなことに取り組んでいるのか。札幌ドームに聞いた。

「今期の業績予想については詳細の公表をしておりませんが、引き続き、黒字化実現を目指してまいります。ネーミングライツや新規広告枠の販売を含めた広告事業、前期以上のイベント日数の確保、経費削減によって黒字化を目指します」

「もう会社として終わっている」

 札幌ドームは札幌市の第三セクターであり、経営が行き詰まれば市が補助金を出す可能性もある。原資は税金だ。市は23年度予算で札幌ドームへの助成金として1億4000万円を計上していた。前述の「新モード」の設置費用10億円も札幌市が拠出した。今年度、札幌市から補助金を受ける予定はあるのか。札幌ドームはいう。

「今年度は昨年同様、アマチュアスポーツ大会開催支援に係る補助、コンサドーレ開催支援に係る補助を見込んでおります」

 地元経済界関係者はいう。

「23年度から日ハムの試合がなくなることは事前にわかっていたのに、何をやっていたのか。社長の会見での発言を聞けば、誰もが『もう会社として終わっている』と感じるだろうし、とても経営者の発言とは思えない。今年度がスタートして3カ月たっているにもかかわらず、黒字化に向けた具体的なプランが何もないというのは、純粋な民間企業ではあり得ず、破綻しても仕方ない。市からの補助というかたちで事実上、税金が投入され続け、毎年赤字を垂れ流し内部留保を取り崩すかたちでずるずると今のまま続けてよいのか。市の決断が迫られている」