冷凍食品大手のニップンが販売している「よくばりプレート」が非常に便利だとSNS上で話題になっている。冷凍庫に常備しておけば、いざという時の食事として活用できるほか、留守番をする子供の昼食や夜食などにもピッタリといった言葉が飛び交っている。「よくばりプレート」が注目されたことで、ワンプレート系の冷凍食品が増えてきたとの分析もある。専門家は、コロナ禍が背景にあるという。
X上で注目を浴びたポストは、「前から気になってたこのワンプレート式の冷凍食品。昨日食べてみたら期待通り普通に美味しかった。スーパーで350円くらい、もう学童弁当も留守番ご飯も塾弁も、下手な外注よりこれ詰め替える(足りなければなんか足す)のでいいんでないの…?と言う気になってる。長続きしますように。」というもの。
4月17日に投稿されたが、1週間もしないうちに表示回数は500万回を超え、リポスト1万回、いいね4.5万回を数えた。ワンプレートに一食分の食事が収まった冷凍食品は各社から発売されているが、特にニップンの商品が支持されているように見受けられる。その理由について、冷凍食品マイスターのタケムラダイ氏は、次のように語る。
「ここ1年ほど、各社からワンプレート系の冷凍食品が多く発売されており、いずれも人気が高い状況です。そのなかでもニップンは先駆け的存在といえ、シェアもナンバー1です。ニップンは『よくばり御前』『よくばりプレート』『よくばりメシ』という“よくばりシリーズ”があるのですが、『よくばりプレート』は、パスタなどの主食と、メインになるおかず(主菜)という組み合わせで、このプレートで1食にもなりますし、それぞれ別々に弁当に入れるといった使い方もできます。また、何よりもバランスが取れた食事になっています」
ワンプレート系の冷凍食品が各社から発売されるようになった背景には、どのようなことがあるのだろうか。
「コロナ禍で家庭用冷凍食品の需要が一気に高まりました。各社が新商品を展開していくなかで、コンビニの冷凍食品は一人向け、スーパーの冷凍食品は家族向け、という住み分けがなされていました。その後、コロナに伴う制限が緩和され、人が外に出るようになってきたことで、“個食”の需要が増えてきました。コロナ禍で冷凍食品のおいしさ・便利さなどが広く知られるようになったので、外食やコンビニ弁当以外の選択肢として、一人用の冷凍食品に注目が集まるようになってきたのです。
もう一つの背景としては、最近のさまざまな食材の価格や人件費などの高騰によって食費が上がってきていることがあります。そのなかで、プレート系の冷凍食品は500円前後の価格帯にあり、コンビニの弁当よりもコスパが良く、需要が高まったといえます」(タケムラ氏)
プレート系の冷凍食品の需要が高まったことで、さまざまなメーカーから同様の商品が発売されているが、「よくばりプレート」のライバルとなり得る商品には、どのようなものがあるのだろうか。
「まず、ニッスイの『まんぞくプレート』が挙げられます。釜焚きのふっくらしたごはんと、それに合うおかずという組み合わせが特長です。こちらはCLUB REDという団体のシェフが監修しているのもポイントです。
次に去年発売されたニチレイの『三ツ星プレート』。ニチレイは『本格炒め炒飯』が“最大の冷凍チャーハンブランド”としてギネス世界記録に認定されたように、チャーハンやごはんがウリで、あまり麺類は扱ってこなかったのですが、このプレートでパスタにも進出し始めたところが注目点です。クオリティはとても高く、さすが冷凍食品の最大手という感じです。プレート系に関していえば後発なので、味やクオリティ、ボリュームなどで他社との差別化に勝負をかけているという印象を受けます」(同)
近年、食品の冷凍技術が飛躍的に向上し、レストランのメニューと遜色ないほどのおいしさを実現している商品も多数発売されている。そんななかで、ワンコインほどの価格で、1回で食べきる食事としても、弁当のおかずにも、夜食にも、さまざまな用途に活用できるワンプレート系の冷凍食品は、ますます需要が高まっていく可能性を秘めている。
(文=Business Journal編集部、協力=タケムラダイ/冷凍食品マイスター)