売上が数兆円で安定、好待遇…大手自動車部品メーカーは「就職の意外な狙い目」

 逆に働くうえでデメリットはあるのか。

「技術職の場合、先ほどのメリットの裏返しともいえますが、完成車メーカーは一から商品を企画・開発・製造して販売するため仕事の幅や自由度が大きいですが、部品メーカーだと自身が携わる部品については高度な技術力を身につけられるものの、対象範囲が狭い点がデメリットになりえます。また、EVシフトの影響などでその部品自体が必要なくなったり、需要が大きく減退すると厳しい立場になります。ですので、就職先として検討する際には、今後の市場動向がそのメーカーのメイン商材(部品)にどのような影響をおよぼすのか、自動車向け以外にリスクヘッジとなる販路を複数持っているのかという点もチェックすべきでしょう。

 また営業職においては、決まった顧客に決まった商品を売るようなパターンが多いため、高い企画提案スキルを身につける機会が得にくいという点がデメリットになります。なので、営業として将来的に大成したければ、ただ顧客から要望があった商品を売るだけではなく、顧客の潜在的ニーズを探り、顧客がまだ気づいてもいないような企画提案を日頃から意識して営業活動を行う必要があります」(川畑氏)

 待遇面や労働環境面はどうか。

「大手の部品メーカーであれば、みなさんがイメージしている大企業と遜色ないレベルで、それなりに良いと思います。勤務時間や休日取得については、各系列の完成車メーカーに準ずるかたちになります。工場を稼働させる都合で、完成車メーカーは年末年始やゴールデンウィーク、8月の夏休みシーズンなどにまとまった長期の連休がある一方、飛び地の祝日は休業日にならない傾向がありますが、部品メーカーもそれに倣って同じような出勤スケジュールになります」(川畑氏)

 では、大手自動車部品メーカーへの就職は狭き門なのか。

「そこそこ狭き門ではあるものの、就職人気ランキング上位にくるような企業と比べれば競争率は高くないので、狙い目ではあります。ただ、マニアックな分野であり、かつ市場でどのような立ち位置にいるのか把握する上で業界研究は必須となります。なので、大手志向が強い方は競争率が高い人気大手企業だけでなく、同様に大企業の環境がある自動車部品メーカーも並行して受けておくことを勧めます」(川畑氏)

(文=Business Journal編集部、協力=川畑翔太郎/株式会社UZUZ COLLEGE代表取締役)