「同じチェーン系でも高価格帯の店舗のほうが働くのがラクという傾向はあります。また、チェーンでなくても店員として働くうえでキツイ店やラクな店というのもあります。お店の見分け方としてのキーワードは『客単価で選ぶ』です。通常、夜の営業における人員配置は、3~5万円の売上に対してスタッフを1名配置するというのが目安です。人件費枠を30%とすると、3万円の売上だと9000円、5万円の売上だと1万5000円の人件費枠となります。店長や料理人の給料が高めで、パート・アルバイトの給料が低めですので傾斜配分がありますが、基準線として時給1200円・平均8時間勤務で9600円の人件費となります。実際はこの枠のなかで時間帯別にシフトを組み、できるだけ効率的に人件費を抑えようとします。
仮に売上が4万円、客単価4000円のお店ならスタッフ1名あたり約10人のお客をこなさなくてはなりませんが、客単価8000円なら約5人のお客をこなせばよくなります。客単価が上がれば相応のサービスや料理の質が求められますが、作業量ベースで考えれば少ないお客を相手にしたほうがラクですし、付加価値を付けることができ、仕事は楽しくなることでしょう。
たとえば店員2人体制の店で売上が10万円、3人で15万円、4人で20万円が目安で、これを超えると結構ハードになるのではないでしょうか。もちろん、機械化・合理化を進め1名のスタッフあたり10万円の売上を上げているお店もありますが、かなりの合理化を進めないと1名あたりの作業量としての限界があり、それを超えるとお客さんにストレスがかかってしまいます。
経営者や店舗責任者のなかには何も考えずに人の配置をケチったり、最近の人手不足で必要な人員配置ができなかったりして、オーバーワークのお店もあったりしますので要注意です。『人がいないから仕方ない』と本来2~3人必要な現場を1人でやらされてしまうこともありますから、面接を担当する責任者の性格を探ったり、現在のスタッフの充足状況をさりげなく聞いてみるのもいいかと思います」
飲食チェーン関係者はいう。
「バイトする側にとって、価格が割安な居酒屋チェーンが最悪というのは、以前からよくいわれていた。一般的に居酒屋バイトはキツイので時給を高めに設定しないと人を確保できないという事情もあり、時給が高めなバイトの一つとして男子の大学生や専門学校生に人気が高かった。低価格の店は『俺はお客』という意識の客が少なからずおり、細かいクレームや文句が多かったり、態度やマナーが悪い客が目立つというのは“業界あるある”。同じ低価格でも牛丼チェーンやカフェなどは、お酒を飲む客が少なく、かつ一人客が多く、飲食したらさっと帰ってくれるので、案外、迷惑客というのは少ない。一方、居酒屋はグループで来店してお酒が入るため気が大きくなりがちで、やっかいな客が増えるという傾向がある」
では、同じ飲食業界でも、店員として働くうえでキツイ店やラクな店というのは、あるものなのか。また、働き口を探す際にキツイ店とラクな店を見分ける方法として、何か良い方法はあるものなのか。 飲食チェーン関係者はいう。
「あくまでファストフード店やチェーン系の居酒屋との比較での話だが、高価格帯の店やホテルに入っているレストランなどのほうが余裕を持って働けるということはいえるだろう。ただ、そのような店は業務経験が必要であったり、一定レベルの接客のマナーやスキル、清潔感のある身だしなみなどが求められるため、誰でも採用されるわけではない。募集の段階でふるいにかけられるため、職に就く難易度が高くなる。