東京女子医大、戦後初「医科大学破綻」も現実味…病床稼働率5割の危険水域

 また、大学関係者はいう。

「早大が東京女子医大を買収・統合するということは、ないでしょう。医学部の経営は単独ではただでさえ赤字で、附属病院との一体経営でなんとか黒字を確保するというかたちですが、東京女子医大は法人として破綻のリスクもあるほど経営が悪い。純粋に経営的判断として、早大には東京女子医大を獲得する理由がなく、またリスクしかありません。また、早大ほどのブランド力と経営体力があれば、一緒になりたいと考える医科大学は少なくないでしょうから、早大としては経営が安定している医科大学と一緒になるでしょう」

 では、東京女子医大を救済するかたちで合併・統合する大学は出てくるのか。

「出てこない可能性が高いと思いますが、都心の大きな医療拠点が丸々一つ消えることは厚労省としては避けたいでしょうから、本当に破綻が現実味を帯びてくれば、同省と文科省が動くことになるでしょう。東京の新宿区や足立区など良い立地に3つの附属病院を持ち、加えて複数の研究施設も有するなど、その保有資産を魅力的だと判断して取得に乗り出す大学は出てくる可能性はあるかもしれません。経営的には完全に失敗していることは明白なので、創業一族による関与の完全排除と現経営陣の刷新は絶対条件になってくるでしょうから、それを理事長含め現経営陣が受け入れるかどうかがカギとなってきます。もっとも、どこの医科大学も経営的には厳しく、なかなかハードルが高いのが実情です」(同)

(文=Business Journal編集部)