そして、そのブランドの中核にいるのが「Tokyo」だ。アジアの人と話をすれば、「Tokyo」という言葉が持つブランド力を感じることが多い。あのユニクロも銀座店舗には「ユニクロTokyo」があり、Tokyo baseというアパレルは純国産の服をアジアで販売して成功している。立派な上場企業は、すべてのブランドに「Tokyo」という名前を冠にしている。
「Tokyo」が醸し出すイメージは、こんなものだろう。無駄がないミニマリズム。素材感、原材料が持つ色や風合いを大事にし、人が見ないところでも丁寧な仕事をしている。デザインでいえば、モダン・コンテンポラリーといって、近代的で近未来を映し出すスタイリッシュなラインなどだ。
私には、はっきりと「Tokyo」が持つイメージが見える。この「Tokyo」をファッション化し、「Tokyo」の青山、代官山、大手町などをファッションシティとしてイメージ想起させる。上記の「売らないお店」のショールーム化なら、「Tokyo」をショールームシティーとするわけだ。そして、成長著しいインドネシア、インドなど、爆発的に人口が増えている国に販路を拡大する。商社や政府などが共同で、そのルートをつくりアパレルが海外で成功できるような手助けをする。私にやれといわれればやってもよい。これが、“Tokyoショールーム戦略”の全体像である。
(文=河合拓/事業再生コンサルタント)