最初にキーエンスに「仕組み化」がいかに根付いているのかについて紹介します。同社は、営業、開発、情報共有などすべての業務で仕組み化を徹底し、組織の生産性と効率性を高めています。しかも仕組みの遵守と成果は厳格にチェックされ、優れた個人に依存するのではなく、誰もが成果を出せる社風が育まれています。
そのためキーエンスでは「仕組み化」を実施することは当然とされていて、成果を出した人だけでなく、仕組みの考案者も評価されます。また、「仕組み化」を考案することはマネジャーの重要な仕事であると同時に、マネジャーのマネジメント負荷を軽減するためにも必要であることが理解されています。
このようにして、キーエンスでは「仕組み化」によってバックグラウンドが多様な社員たちが一定の成果を出すことを実現しているのです。
仕組み化とは「ルール」のことであり、たとえば、営業プロセスの標準化や業務フローの明確化などが挙げられます。
具体的には、営業活動における訪問先の選定基準、アポイントの取り方、商談の進め方、見積もりの作成方法などを細かくルール化することで、営業の質を高め、成果を安定させることができます。
また、製品開発においては、開発プロセスを細分化し、各工程の担当者とその役割を明確にすることで、開発の効率化と品質の向上を図ることができます。さらに、社内の情報共有や意思決定のプロセスをルール化することで、コミュニケーションの円滑化と意思決定のスピードアップを実現できます。
このように、キーエンスでは、あらゆる業務において仕組み化を推進することで、組織全体の生産性と効率性を高め、継続的な成長を実現しているのです。仕組み化は、同社の強みの源泉であり、他社との差別化を図るうえで欠かせない要素となっています。
もちろん、多くの企業が仕組み化に取り組んでいると考えられますが、その多くは仕組み化を徹底できていないのではないでしょうか。仕組み化により成果を上げるためには、徹底と継続が必要です。キーエンスの仕組み化は、個人の作業効率を高める工夫である以上に、組織として結果を出すことに重点が置かれています。
そのために、ルールを守ることに対する社員のモチベーションの高さが異なります。そこにはルールを守ることに対する信賞必罰や、仕組み化が有効であることを確認す化を行える組織であるべきです。
かといって、キーエンスでは四六時中「仕組みが、仕組みが」と唱えられているわけではありません。仕組み化することや仕組みを守ることが当然になっているためです。
そのため何か問題が発生すれば、当事者である個人のスキルや能力を責める前に、まずは仕組みに問題がなかったかが問われます。また、キーエンスには結果だけでなくプロセスも評価する仕組みがあります。
たとえば、営業は一定の行動量をこなしていればいずれは結果が出ることがわかっています。そのため、成約数や売上金額だけでなく、アポ数や面談数といった途中の行動量も評価されます。
ですから、たとえ今月の売上が今ひとつだったとしても、面談数が目標を達成できていれば、努力をしていると評価されます。売上には時間差が生じているだけかもしれないからです。