ですから部下の根性に頼るのではなく、行動の仕方を示すことがマネジャーの仕事だと考えます。このように行動すれば、このような結果を出すことができるのだ、ということを示すことが大切です。
そしてキーエンスでは、マネジャー自身も仕組みの中で行動しています。月初に売上予想を出すことや会議の頻度を決めたり、部下の報告を確認したりなど、マネジャーとしてやるべきことが決まっているのです。
ただし、その仕組みにプラスアルファの自分なりの工夫を加えることも求められます。
キーエンスの躍進ぶりを見た人から、「よほど優秀な人材を集めているのだろう」とか「高学歴でなければ採用されないのだろう」といったことを言われることがあります。
「優秀さ」を判断することは難しいのですが、学歴で見てみますと、キーエンスの社員の学歴は実に多様です。必ずしも高学歴の人たちばかりではありません。キーエンスでは、採用の際に学歴はそこまで重視されていません。
また、社員それぞれのバックグラウンドも実に多様です。結局、仕組みがしっかりと回っているので、社員の属人性には依存していないのです。また、個人のやる気にも依存していません。
たとえば営業担当者の面談数が50件に達したら1ポイント付与されるなどのプロセスを評価する仕組みがあるため、誰もが50件を超えるように行動しています。その結果、個人のやる気や真面目さ、マメさといった性格に依存することもありません。