資生堂が3年前に手放した「ツバキ」の意外な現在地

小森社長はマッキンゼー・アンド・カンパニーや投資ファンドのユニゾン・キャピタルの出身。過去にカネボウ(現クラシエホールディングス)が経営破綻しかけた際、社長兼CEOに就いて再建に携わった(撮影:今井康一)

独立した現在は、地域ごとに必要な商品の拡充や、マーケティングの見直しを進めている最中だ。例えばボディソープの「クユラ」では、中国で需要の高い抹茶の成分をアピールした商品を新たに投入している。

こうした中で大化けの可能性を秘めるのがツバキだ。国内ではこれまで培ってきたイメージを変えずに低価格帯で伸ばす構えだが、韓国など地域によっては2000円程度で販売しても好調に売れているという。

ニッチ市場で勝負できるか

小森社長は「アジアの国々でもヘアケアのプレミアム化が進行している。コミュニケーション方法やチャネルを変更したことで、ツバキの高いポテンシャルが見えてきた」と、高価格帯でのツバキの活躍に期待する。

海外は上場で調達した資金を元手とした買収も検討する。勢いのあるファブレスメーカーを買収できれば、規模拡大や工場の稼働率向上が期待できる。その一方で、海外のOEM(製造受託)メーカーを利用して素早く商品開発を行うことも視野に入れる。

アジア各国など海外展開を広げるうえで、マス向け市場ではP&Gやユニリーバと戦うことになる。高価格帯など独自の立ち位置で消費者のニーズをとらえられるかが明暗を分けそうだ。

一段と競争が激しくなる日用品の市場。ファイントゥデイも資生堂時代とは異なる戦い方が求められる。新商品の開発で各地のニーズに素早く対応できるかが、成長の試金石となる。