中国のネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は5月14日、2024年1~3月期の決算を発表した。
同四半期の売上高は1595億100万元(約3兆4379億円)と前年同期比6%増加。投資損益やストックオプションなどを差し引いた非国際会計基準(非IFRS)の純利益は502億6500万元(約1兆834億円)と、前年同期比54%の大幅増益を記録した。
テンセントの四半期売上高は、2023年1~3月期から7~9月期まで前年同期比10~11%の2桁成長を続けていたが、10~12月期に同7%に減速。今回の2024年1~3月期はさらに1ポイント低下した。一方、純利益の伸び率は2023年の各四半期が27~39%だったのに対し、2024年1~3月期は54%に跳ね上がった。
売上高の伸び率が下がる中で利益を大きく増やせたのは、利益率が高いサービスの事業拡大に注力した成果だ。
決算報告書によれば、動画投稿サービス「微信視頻号(ウィーチャットチャンネル)」やアプリ内検索サービス「捜一捜」の広告収入、ミニゲームのプラットフォームのサービス料、動画を配信する企業向けの技術サポート料などの「上質な収入源」が、売上高の伸びを大きく上回る増益をもたらしたという。
1~3月期の業績をセグメント別に見ると、稼ぎ頭のオンラインゲームを中心とする「付加価値サービス」の売上高は前年同期比0.9%減の786億元(約1兆6942億円)にとどまった。そのうち、オンラインゲームの中国国内の売上高は同2%減の345億元(約7436億円)、海外売上高は同3%増の136億元(約2931億円)だった。
オンラインゲームの伸び悩みとは対照的に、顕著な増収を達成したのがオンライン広告事業だ。動画投稿サービス、検索サービス、ミニプログラムなどへの広告出稿の好調を受け、1~3月期のオンライン広告事業の売上高は265億元(約5712億円)と前年同期比26%増加した。
テンセントによれば、自動車を除くすべての主要業種が広告費の支出を増やしており、中でもゲーム、ネットサービス、消費財関連の伸びが目立つという。
広告収入の増加に大きく貢献したとみられるのが、テンセントが独自開発した生成AI(人工知能)「混元(フンユエン)」を組み込んだ広告制作用のクリエイティブツールだ。同社はすでにこのツールをすべての広告主に提供している。
テンセントのCSO(最高戦略責任者)を務めるジェームズ・ミッチェル氏は、生成AIの利点について決算説明会で次のように述べた。
「わが社のようなソーシャルメディア企業にとって、AI広告ツールは極めて有用だ。以前は検索連動型の広告しか作れなかった顧客が、(生成AIを活用して)ソーシャルメディアに最適化した画像広告や動画広告を(容易に)作れるからだ」
(財新記者:関聡)
※原文の配信は5月14日