いい人や真面目な人ほど、心の無理・無駄が増えるものです。
「未来について安心したい」と願い、あれこれ手放さないでいることで、無理・無駄が自然に増えるからです。
それは、物質的な「もの」の話に限りません。
たとえば考え方や習慣、そして人間関係。
皮肉な話ではありますが、「自分は普通でいい」と思うほど、気を遣うことになり、自分への無駄な負荷がかさんでいくのです。
このように自分を守ろうとするあまり、未来を先回りして想像し、無意識に「~であるべき」「~でなければならない」という厄介なルールを作ることを「思い込み」と呼びます。
「思い込み」は、やがて「常識」となって私たちを縛ります。
「思い込みに従うなんて、明らかに無理・無駄」とわかっていても、やめられなくなることすらあります。
また「思い込み」に他人が関係していると、ますます手放しづらくなります。
たとえば「もうこれ以上は無理」と思っていても、他人に喜ばれていたり、頼られたりしているせいで、余計にやめにくくなるわけです。
あなたは、そんな「いい人」になってはいませんか。
もし思い当たることが少しでもあるなら、それらの無理・無駄を「どうすれば手放せるか」考えるようお勧めします。
そうでないと、やるべきことや考えるべきことが増えすぎて、気づかないうちにたまったストレスに押しつぶされかねません。
そもそも無理・無駄をなぜ手放せないのでしょうか。
理由を考えてみましょう。
無理だ、無駄だと思っていても断れない、やめられない、放っておけない。
それはいったいなぜなのでしょうか?
いままで続けてきた考え方や習慣や人間関係を、もし手放したとしたら。
「あとで大変なことになるから」「叱られそうだから」という理由が、まずあるかもしれません。
でも、もしかすると大変なことにはならないかもしれません。
叱られずにすむかもしれません。
こういうと、あなたをそそのかしているだけのように聞こえるかもしれませんが、手放すことをお勧めする理由はきちんとあります。
実は、人とは意外なほど物事を忘れる生き物です。
ドイツの心理学者によると、人は苦労して覚えたことも1カ月後には忘れてしまうことがほとんどで、再度覚えるのにやはり以前の8割程度の時間が必要だそうです。
つまり、あなたが気にしている「そのこと」をそっとやめたとしても、ストレスの元凶である「あの人」が、それを覚え続けている可能性は、ほぼゼロに近いのです。
ですからおそれずに、無理・無駄をいったん手放してみてください。
とはいえ実際は「思い込みを捨てて変わるべき」とわかっていても、実行に移しにくいかもしれませんね。