課題を一旦設定したら、次はデータから一旦の検証結果を出す番です。なぜそうなっているのか、売上が落ちたのは商品改変のインパクトなのか……、全体の傾向をつかみ、データから明らかにしていきます。
ただし、多くの場合、事象は複合的であり、因果関係の証明は難しいものです。すぐに要因を決めつけるのではなく、「可能性がありそうな所見を洗い出していく」イメージが近いです。必要なデータを追加し、プロセスを繰り返すことでより結果は充実したものになります。
データ全体の傾向と特徴をつかみながら相関関係や因果関係を読み取ることで、次に取るべき一手が考えやすくなります。新商品開発であれば、新規顧客がどの程度見込めそうか、獲得しやすい特性は何かがある程度予測できるはずです。
予測をもとにした提案や課題に対するアクションの提案がデータ活用で目指すべきものです。必要に応じて課題の見直しや検証を繰り返すことも多くあります。それらを総合し、適切な意思決定へと繋げていきます。
「何が問題なのか?」「何がわかるのか?」「どうすればいいのか?」
これら3つの問いかけを継続することで、ビジネスに対する洞察は深まり、精度は高くなります。打ち出す施策の有効性も比例して上がるでしょう。
年俸10億円クラスのヘッドコーチたちも、これらの「3つの問いかけ」のサイクルを回転させながら勝利を目指しているはずです。
データサイエンスは日本企業にこそ今後大きな利を生み出すと思っています。その大きな理由の1つには、日本の多くの企業が代々「暗黙知」を受け継いできていることです。
長年の経験、熟練したベテランの直感、現場だけが持つ目。こうした企業の暗黙知を継承していくためには、不文律とされていた知を目に見える形に変換しなければなりません。
社内のあらゆる部門のオペレーション業務がデジタル化され得る昨今、どの業務がどのように動いているか、いままでにない解像度で理解することが可能です。このことがより深い現場理解につながり、結果、利益をもたらすことは間違いなく大きいでしょう。
また、データで事業を細かく可視化することによってビジネスの解像度が格段に上がれば、企業は次にどのような手を打つべきかがより具体的に見えるようにもなります。
ディズニーランドをはじめとしたアミューズメント施設が、需要に応じて入場価格を変動させる「ダイナミックプライシング」を続々と採用しているのも、データを活用した価格最適化の一例です。
データサイエンスはあらゆるビジネス課題を即座に解決する魔法の杖ではありません。しかし、すでに夢の国の入園料は、需要と供給、そしてあらゆる条件下でのサービスへの満足度などのデータから科学的な裏付けによって決められ、それが夢の国の存続を約束しているのが現実です。
データサイエンスの思考法は、あらゆる会社、あらゆる業界で実践することが可能です。これまでのあなたのキャリアに掛け合わせることによって、可能性の幅がより広がっていきます。あなたのキャリアを底上げし、飛躍させるための武器になるはずです。