「思ったことをすぐに口にする」人が抱える大問題

リーダーになれる人は、不用意な発言をせず言葉を選んで相手に伝えることができるといいます(写真:kouta/PIXTA)
「課長なんて楽勝、楽勝」と思いきや、いざ自分が「その立場」になってみたらチームがうまく回らないし、成果も一向に上がらない。打開策について上司に相談しても「課長になったんだから、もっとガツンとやれ」と意味不明なアドバイスしか返ってこない……。
 
いざリーダーになったときに途方にくれないためには、リーダーになる前から「正しい準備」をしておくことが大切なのです。
 
リーダー育成家林健太郎の最新刊『できるリーダーになれる人は、どっち?: 話し方・考え方・聞き方……「ここ」で差がつく!』では、コーチとしてリーダーシップの指導にあたっている著者が、将来、リーダーとして活躍することを目指している人たちに向けて、「できるリーダー」へと成長するために身につけておきたい仕事の習慣について紹介しています。本稿では、同書から一部を抜粋してお届けします(全3回、今回は3回目)。
 

◆仕事で相手と会話するとき

リーダーになれる人は、目指すゴールから逆算して、「何を言うか」を考えてから口に出す。
リーダーになれない人は、思ったことを無計画に、すぐに口に出してしまう。
 

職場に悪影響を与える発言

思ったことをすぐに口に出してしまう人、あなたの周りにはいませんか?

例えば、会社の方針説明会があったとして、終わった直後のランチの席で「あんな売上目標なんて無理に決まっているじゃないか! 会社はいったい何を考えているんだ」なんて言う人です。

これが一般社員同士の会話なら、たまにはストレス発散としていいかもしれません。しかし、この発言をしているのが例えば課長で、一緒にランチをしているのが部下だったとしたら、これは不適切な会話と言わざるを得ません。

「ちょっと待った! そんなこと言ってしまっていいの?」という状況です。自分の上司がそんなことを言っていたら、部下としてはモチベーションダウンもいいところですよね。

このように「思ったこと」を不用意に発言する人は、リーダーになれない人……というよりも、リーダーになったら周囲に悪影響を及ぼしてしまう人です。

リーダーになりたてで、まだ一般社員だったころの感覚が忘れられない人が陥りやすい、典型的な失敗パターンだったりします。

一方、リーダーになれる人は、「自分の発言によって、聞いている相手がどういう状態になればハッピーか?」「聞いている相手にどう思ってほしいか?」などを逆算して、会話のシナリオを考えてから発言します。

つまり、受け取る側の感情から発言を考えることができるのです。

リーダーになる人の思考回路

もし、会社の方針説明会でかなり厳しい売上目標が示されたとしても、こんなふうに考えます。

「部下たちがどういう気持ちになるのが望ましいか?」  
「そんな売上目標は無理に決まっている」(と受け取るに違いない)
「高い目標をクリアするという経験を仲間と一緒に楽しむ」(という思考にみんなが向かうにはどうすればいいか)
 

こんな形で、あなた自身の脳内で会話(セルフコーチング)をしながら、どんな形で言葉を伝えるのがいいのか、策を練っていくわけです。

例えばこんな言葉を伝えてみるのはどうでしょう。

「売上目標自体は非現実的なのはみんなわかっていることだよね。会社が決めたことだから、それに向かってがんばることは必要なんだけど、例えばこれを、みんな1人ひとりの個人競技ではなく、チームのミッションだと考えて、お互いにどんな協力をすれば、より目標達成に近づくのかを考えてみるのはどうだろう?  せっかくの機会だから、チームワークよく仕事をするというテーマで動いてみるのはどうかな?」