約10兆円を投じたアクティビジョン・ブリザードの買収が10月に完了したマイクロソフトも、自社端末の「Xbox」だけでなく、PC、スマホなどさまざまなデバイスで豊富なタイトルをプレーできるサブスクリプションサービスを強化。ソフトメーカーとのパートナーシップ拡大を急いでいる(詳細はこちら)。
こうした競合の動きを尻目に、任天堂はハードとソフト一体型の戦略という基本方針の下、先述のようなスイッチでしか遊べない自社IPのタイトルで勝負する姿勢を崩さない。多様なプラットフォームでの展開が主流となりつつある中、その独自路線ぶりは際立っている。
目下、任天堂の一体戦略は過去にも増して強みを発揮しているといえる。
スイッチの2023年度上期のソフト売り上げにおいて、自社ソフトの比率は82.4%(前年同期は74.3%)に達した。
上期の16本のミリオンセラータイトルのうち12本が自社タイトルであり、しかもそのうち10本は旧作だ。2017年4月に発売された「マリオカート8 デラックス」は、2022年3月以降6回にわけて有料追加コンテンツを出すことでコミュニティの盛り上がりを維持し、上期だけで322万本を売り上げている。
自社ソフトの販売が好調な背景には、マリオやピクミンなど自社IPの強化戦略も効いている。4月に公開された映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は、興行収入が13.6億ドルを超える大ヒットをなし遂げただけでなく、マリオのスイッチ向け過去作5タイトルの販売本数(4月~9月)を前年同期比で1.3倍まで押し上げた。
スイッチの後継機の噂も流れる中、古川社長は「2022年末にソフトメーカーに対して次世代機の説明を行ったという話や、2023年夏の海外イベントにおいて、新しいハードウェアのデモを行ったという報道があったが、いずれも事実ではない」と否定した。
2024年にも、スイッチでは「ペーパーマリオRPG」や「スプラトゥーン3」の追加コンテンツなどが予定されている。スイッチの勢いを維持したまま、うまく後継機にバトンタッチできるか。未知の領域での戦いはまだ続きそうだ。