東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2024

「あの日本シリーズを見て、悔しいと感じてほしい」
チームの意識を改革し、来季に臨みたい――

日本シリーズ大激闘を見て、悔しいと感じてほしい

――日本シリーズも終わり、これからはプレミア12も始まります。先日の報道では、「オフシーズンこそ、外から野球を見て、いろいろ学んでほしい」という発言もありました。この発言の意味、真意はどういうことですか?

髙津 「客観的な視点で野球を学ぶ」ということはもちろんですけど、まずは「クソッ、悔しいな」と感じてほしい。そして、「この時期まで真剣勝負がしたい!」と感じてほしい。その中で、1点を取るために、1点を防ぐためにガツガツしている姿を、もう一度思い出してほしい。先日の日本シリーズもそうでしたけど、ベイスターズもホークスも当然必死でした。特にポストシーズンのベイスターズのような勢いのあるチームと、どうやって戦えばいいのかといえば、そこに負けないぐらいの熱いものを持って立ち向かうしかない。なかなか勝てないチームというのは、ちょっと言葉が古いかもしれないですけど、「根性」とか「泥臭さ」とか「ギラギラさ」を失いかけている部分もあります。だから、本当に1球に執念を燃やして、ギラギラ、ガツガツしたプレーを思い出してほしいと思います。

――悔しさや羨ましさを噛み締めながら、改めて原点に戻ってほしい、と。

髙津 そうです。あれだけヒリヒリする状況下で試合している他のチームの選手たちを見ると、僕自身も「すごく羨ましいな」と思うし、「真剣勝負をこういう大きな舞台で戦わせてあげたいな」と思うし、「自分もその中で指揮を執りたい」と思います。だからこそ、ポストシーズンこそ、他球団の選手が頑張っている姿を絶対目に焼きつけておくべきだと思います。「来年は必ずこの舞台に立つんだ。今のままじゃダメなんだ」と、もっとギラギラしてほしい。そういうことに気づくのが、ポストシーズンじゃないですかね。

――連載5年目も、今回が最終回となります。改めてこの連載をずっと読んでくれた読者の方に監督からのメッセージと来シーズンへの抱負をお願いします。

髙津 正直言うと、この連載がいちばん僕の生の声に近いと思うし、正直な思いを話すことがもっとも多い場所かなと思っています(笑)。なので、来年もまた「そのとき、そのときの感情であったり、考えていることであったり、成功体験、失敗したことなどなどを、この場を通じて発信していけたらいいな」と思っています。ファンのみなさんはもちろんですけど、選手が読んでいるかどうかはちょっとわからないですけど、すごく伝える手段としてはいい立ち位置の連載だと思います。

――では、6年目となる来年もこの連載を継続しても構わないということでしょうか?

髙津 もちろんですよ。こちらこそよろしくお願いします。マンネリにならないようにネタもいろいろキープしておかなきゃいけないなと思います(笑)。こちらから何かを発信することはすごく大事なことです。ファンのみなさんであったり、この連載の読者のみなさんであったり、みなさんに向けてきちんとメッセージを発信するつもりです。もちろん、なかなかうまくいかないときもあるでしょうし、テンションが下がっているときもあるでしょうけど、できるだけ丁寧にお答えしたいなとは思っています。

――来年こそ、いい形でシーズンオフを迎えたいものですね。

髙津 今年は暗い1年を過ごしてしまったんでね、お互いに(苦笑)。来年こそ、ファンのみなさんにも元気に楽しく過ごしていただけるように頑張ります。今シーズンもどうもありがとうございました。引き続き、来シーズンも「応燕」よろしくお願いいたします!

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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