――故障者が多かったとか、戦力が手薄だったとか、今シーズン5位に終わった要因はたくさんあると思いますが、監督自身はどうお考えですか?
髙津 ちょっと答えづらい質問ですけど、もちろん僕らは技術で勝負する世界なので、「よく投げた」とか「よく打った」というのはすごく大事な部分だとは思うんです。でも、ちょっと表現が難しいんですけど、「チーム内でのいい関係が築けなかった」ことはすごく反省しています。野球をやる以前に、まずは監督とコーチ陣、首脳陣と選手たちなど、いい関係が築けなかったんじゃないかなと思っているので、そこは大いに反省して修正していかなきゃいけない。
――誰もが勝利を求めて、それぞれが全力を尽くしている中での意見の衝突は当然起こり得ると思います。それでも「勝利」という目的は一緒だから、実際にいい結果が出れば人間関係は円滑に進みますよね。
髙津 いや、その通りですね。
――でも、ちょっと結果が悪くなると、日頃の不満が噴出したり、表面化したりするケースも多々あります。これは一般社会でも同様ですが、「チーム内でのいい関係が築けなかった」というのはそういうことでしょうか?
髙津 ちょっとあまり具体的に言うのは恥ずかしいので言いたくないですけど、まさに、今言われた表現が近いと思いますね。
――プロの世界は仲良しこよしの集団ではないわけだから、それぞれがプロとして正しいことをすべきだと思います。でも、そうかといって、みんなが好き勝手にやっていたらそれは組織としては成り立たない。チームを統率して、同じ方向に向かせていくのは監督の役目となりますよね。そういう意味での反省ということですか?
髙津 山崎晃大朗の引退試合のあいさつでも言わせてもらったけど、ベンチを見渡してみたときに、「自分は何をしなきゃいけないのか」「監督は何を考えて、どういうことをやりたいのか」ということを晃大朗はよくわかっていました。だけど、最近加入してきた選手であったり、二軍から来た選手であったりというのは、1つずつ説明して、「こうなったら代打いくよ」、「こういうリリーフがきたら、君がいくよ」とか、「ランナーが何塁にいたら君だよ」といちいち説明しなければいけない。もちろん、それが僕らの役目ですけど、晃大朗のように自分で理解できる選手は、「ここはオレの出番だな」とか「この場面はまだだな」と理解できるので、準備の仕方もよくわかっています。言葉での説明はもちろん大切なんだけど、究極はアイコンタクトですよね。目で合図するだけで、「はい、大丈夫です」と理解してもらえる。晃大朗のような選手を多くしたい。そういうところまでなかなかいけなかったという反省がありますね。
――残念ながら、紙幅が尽きてしまいました。来季の展望、意気込みなど、この続きはまた次回最終回の際にお願いします。
髙津 承知しました。また次回、よろしくお願いします。
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