東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2024

ついに「優勝」の可能性消滅――
悔しいシーズンの中、急成長で希望を灯した長岡選手

急成長を続ける長岡秀樹に望むこと

――さて、今季の明るい話題としては長岡秀樹選手が攻守ともに、さらにひと回り大きく成長したことが挙げられます。監督から見た今年の長岡選手はどのように映っていますか?

髙津 彼の場合は「身体が強い」ということが最大のストロングポイントです。そして、もうすぐ23歳という若さもある。常に試合に出続けられるというのが最大の長所です。さらに、安定した守備力がある。だから、「たとえ打率が低くても、あの守備力はチームにとってとても重要だ」と考えていたので、昨年までは8番を打たせていましたけど、経験を重ねたことで、少しずつ成長していきました。

――オールスターにも出場し、最近ではバッターボックスでも、守っているときでも自信に満ちあふれているというか、堂々とプレーしているように見えます。

髙津 あんまり調子に乗るようだったら、すぐに鼻を折ります(笑)。確かに期待通りに成長していますけど、年齢を考えれば、プロ5年目というのは「大卒1年目」なので、まだまだ若造ですよ。野球はもちろんですけど、人としてももっと成長していかないといけない時期だし、僕らも野球以外のことも指導していかなければいけないと思っています。

――監督としては、野球はもちろんですけど、「人間的成長」もまた、彼には望んでいるのですか?

髙津 別に長岡に限らず、若い選手には、「せっかく縁があって同じチームになったのだから、人間としても成長してほしい」といつも思っています。長岡の場合、今はすごく充実していて楽しくプレーしていると思います。今はそれで充分です。でも、彼が25歳になったとき、30歳になったときにプレーヤーとしてどうなっているのか? 今と同じように謙虚にコツコツと野球に取り込んでいるか? 人間としてどう成長しているか? この辺りも大切にしたいです。

――まだまだ伸びしろがあるから、もっともっと上を目指してほしいという思いですか?

髙津 今は、常に万全の準備をして全力でプレーして「成功しつつある」と言っていいと思います。でも、さらに大きく育ってほしいし、誰からも認められる一流選手になってほしい。その思いは強く持っています。

――さて、現在は移動に次ぐ移動という変則的なスケジュールの真っ最中です。残り試合も少なくなりましたが、改めてファンの方へのメッセージをお願いします。

髙津 本当に9月は移動が忙しくてバタバタしていますね。残り試合もわずかになったけれど、もちろん僕らは毎試合「どうすれば勝てるのか?」と考えて全力で臨みます。一つでも上の順位を目指すという姿勢はこれからも変わりません。ぜひ、引き続き「応燕」をよろしくお願いします!

過去の連載をまとめた髙津臣吾監督のビジネス書『明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと』が、大好評発売中!

ご感想はこちら

プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
出版をご希望の方へ

公式連載