東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2024

ついに「優勝」の可能性消滅――
悔しいシーズンの中、急成長で希望を灯した長岡選手

嶋基宏ヘッド兼バッテリーコーチについて

――打撃コーチ、投手コーチとの緊密なコミュニケーションを意識しているということは、以前に伺いました。さらに今シーズンは嶋基宏ヘッド兼バッテリーコーチとの二人三脚が続いています。嶋ヘッドについては、どのように見ていますか?

髙津 嶋は本当に大変だと思います。監督と選手との間に立って、全方向に目配りをしなければいけない。彼はまだ39歳で、コーチとしては若い方なのでいろいろ気を遣うこともあると思うし、バッテリーコーチも兼任していますから。今年初めて、「ヘッドコーチ」という重要な立場となったけど、大変な役割を十分に務めていると思います。

――監督としては「自信の負担を減らすべく、実績のあるベテランをヘッドに据える」という考えもあるかと思います。それでも、「彼にいろいろな経験を積ませたい」との狙いがあったのでしょうか?

髙津 実際にここまで戦ってきて、彼に対して困ったことや不満に思うことはまったくと言っていいほどありません。僕としては、今回が初めて「キャッチャー出身のヘッドコーチ」となりましたけど、非常によかったなと感じています。嶋の場合は、攻撃も守備も、野球全般に渡って深く見てきた選手だし、何よりも「野村克也」という師匠も一緒ですから、それを受け継いでいる僕の考えも理解してくれている。まさに適任だったと思います。

――やはり「野村イズム」は、嶋ヘッドにも感じられますか?

髙津 僕の考えをすごく理解してくれていると思います。あとは、試合中にいつも僕の横にいるので、僕の愚痴や不満を聞くこともあるけど、それも辛抱強く聞いてくれる。彼にとっては、決して気分のいいことじゃないと思うけど(苦笑)。ヘッドとして、バッテリーコーチとして、非常に僕を支えてくれていると思います。

ご感想はこちら

プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
出版をご希望の方へ

公式連載