リーグ2制覇達成から翌年、まさかの5位転落という屈辱を味わった髙津ヤクルト。主力の不調や投手陣の不安、チームの歯車はまったくかみ合わず、覇者の面影は消えていた。
そして今シーズン。「ヤり返せ!」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図り、長いシーズンを戦っていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、雪辱を誓う髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――9月7日の阪神タイガース戦に敗れてしまったことで、今シーズンの優勝は完全消滅となってしまいました。
髙津 本当に残念です。開幕以来ずっと、「いちばん上に立ちたい」と思って戦ってきたので、非常に残念です。それしか言葉はないです。あの日の試合後にも言ったけど、先発ローテーションも、試合中盤以降のリリーフ陣、そして打順も固定できないまま、この時期まで来てしまった。キャンプの頃からシーズン中もずっと、「早く固定したい」と思いながらいろいろ試したけれど、うまくいかなかった。それが最大の反省点であり、優勝を逃した大きな要因でした。
――山田哲人選手、塩見泰隆選手など、相次ぐ主力選手の負傷離脱、当初予定していた「8回・清水昇、9回・田口麗斗」という勝利の方程式が機能しなかったこと……。まさに攻撃陣も投手陣も、「固定できない」状態が続きました。
髙津 故障者については全力でプレーした結果、起こったことだし、うちだけではなく他球団も同様なので、それを理由にすることはできないけれど、「それにしても、ここまで続くものなのか……またか……まだか……」という思いも、正直あります。
――一方、翌8日の試合では高梨裕稔投手の2年ぶりの勝利で、監督ご自身の「通算300勝達成」という節目を迎えました。
髙津 高梨に言われるまで、まったく意識していなかったので、彼がウイニングボールを持ってやってきたときには、本当に意味が分からなかった(笑)。監督に就任したのが2020年のことで、今年で5シーズン目ですけど、まぁ、これが早いのか遅いのかはわからないけど、「もっと早く達成していれば……」という思いもありますね。
――この試合では、ここ最近辛抱強く起用してきた澤井簾選手に待望のプロ初ホームランも飛び出しました。
髙津 彼の場合はまだまだ野球の勉強が必要ですけど、「今はがむしゃらに振ってアピールすればいい」と思って起用しています。もちろん僕も期待しているけれど、「ぜひスタメンで使いましょう」とコーチが推しているのが起用の大きな要因となっています。あの一発はいいところで回ってきて、いいスイングをしてくれたと思います。