――4月16日の中日ドラゴンズ戦では石川雅規投手が今季初登板で5回を無失点に抑えました。また、5月6日の横浜DeNAベイスターズ戦では5回3安打2失点という結果でした。プロ23年目、44歳の大ベテランについては、どのように見ていますか?
髙津 「44歳なのに」というと彼には失礼かもしれないけど、彼の意欲はまったく衰えていません。いや、「うまくなりたい」とか「勝ちたい」という思いは、年々強くなっている気がします。実際に結果に出るかどうかはともかく、野球人にとって、まずはその意欲が絶対に大切なことだと、僕は考えています。それがあるうちは、まだまだ大丈夫。監督としては、きちんと間隔を開けながら、良い状態でマウンドに上げてあげたいと考えています。
――例えば、4月のドラゴンズ戦では130キロを超えるボールが1球もなかったにもかかわらず無失点に抑えました。同じ投手として見て、彼のすごさはどこにあるでしょうか?
髙津 彼のすごいところは、ランナーがいる場面、ピンチの場面で、いろいろなことを考えながら、ありとあらゆる手段を使って相手バッターを抑えようとするところです。その引き出しが、ものすごく多い。ベンチで見ていて、「あぁ、こんなことを考えているんだろうな」とか「こうしたいんだな」という意図が見えるんです。
――本人によると、この日もプレートの位置を変えたり、ヒジの位置を変えたり、あるいはボールを長く持ったり、クイックで投げたり、いろいろ試したということでした。
髙津 そこが石川のすごさです。普通、ピンチの場面になると腹を括って「エイッ」と投げたくなるんです。でも、球速のあるピッチャーならばそれでいいかもしれないけど、石川の場合はそれだけじゃなく、前の打席のこと、それまでの対戦のことなど、ありとあらゆることを考えた上で投げている。彼のピッチングには意図があり、狙いがあるので、僕から見ても、「なるほどな」と理解できる部分がたくさんありますね。
――セ・リーグは混戦状態が続いています。前回の話にもあったように、辛抱強くくらいついていく中で故障者の復帰を待ち、ベストオーダーを組むことができれば面白くなってくると思います。改めて、5月の戦いについて、抱負を教えてください。
髙津 前回と同じことの繰り返しとなってしまうけれど、やはり現在も「今は我慢の時期だ」「もう少しの辛抱だ」という思いで毎日、グラウンドに立っています。離脱している選手たちも、徐々に万全の状態に戻りつつあります。選手たちは毎日必死になって戦っているし、僕たち首脳陣も常に「どうすれば勝てるのか?」と考えています。ぜひ、引き続き、熱い「応燕」をお願いします!
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