――継投に関して、さらなる誤算は8回を託していた清水昇投手が不振にあえいでいることでもあります。開幕前に描いていた「8回・清水、9回・田口」というプランが成立しない中、清水投手は二軍落ちを経験しました。彼にはどのように接していますか?
髙津 ヘンな言い方かもしれないけど、「何も言ってない」というのが事実ですね。普段通りにあいさつを交わすだけで、何か言葉をかけたり、技術的に指導したりすることもありません。もちろん、ピッチングコーチからは「今、こんな投げ方になっているよ」とか「こうした方がいいよ」というアドバイスをしていると思うけど、僕からは特にアプローチすることはありません。これは、調子がいいときも、そうでないときも変わらないです。
――それは、あえて、そのように意識しているのですか?
髙津 うーん、どうですかね? 監督としては「早く本来の調子を取り戻してほしい」とは思っているけど、彼は決して努力を怠るような選手じゃないですから。普通に一生懸命やっている中で、なかなか結果が出ない。これは、ある意味ではしょうがないんです。ただ、チームの勝敗に直結する場面で投げること、精神的な重圧の中で登板し大きな責任を感じているというのは、僕もよく理解しているつもりです。
――監督自身、現役時代はずっとクローザーでした。清水投手の心情を理解した上で、普段通りの接し方を心がけているということですか?
髙津 実際に結果を残せていないということは事実です。ピッチングコーチの指導を受けたり、自分自身で「何がいけないのか?」を考えたりしながら、結局は自分自身で乗り越えていくしかない。現実を見据えて、グッと我慢しながら、努力してもう一度立て直していくのは自分しかない。そんな考えは確かにありますね。
――就任2年目の2021(令和3)年シーズンは、抑えの石山投手が不振にあえぎ、シーズン途中から配置転換し、スコット・マクガフ投手がクローザーとなりました。そのときにも、石山投手に対して「冷たい言い方に聞こえるかもしれないけれど、自分で乗り越えるしかないんだ」と話していました。
髙津 今回の清水に関しても、まったく一緒です。なかなか結果が出ないときに忘れてはいけないのは、本人が常に「なぜ?」「どうして?」という思いを持ち続けること。「なぜ?」の繰り返しで試行錯誤することが、問題解決の糸口になります。清水には、ぜひその壁を自分の力で乗り越えてほしいと願っています。今はただ、決して投げやりになることなく、今まで通りに普通に練習にとりくんでくれたらいいと思っているし、その点に関しては、清水なら大丈夫です。