東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2024

村上宗隆を2番で起用した理由
「変わっていくぞ、という姿勢を見せたかった」

山田哲人の一軍復帰に思うこと

――二番での起用に関して、監督自ら村上選手に説明はしたのですか?

髙津 彼を呼んで、「今日は二番で行くぞ」というように、直接説明したわけではありません。いつもホワイトボードにスタメンを書くんですけど、彼がそれを目にした後で、しゃべったという流れでした。

――監督から話しかけたのですか、それとも村上選手からですか? そのとき、村上選手はどんな反応でしたか?

髙津 僕から話しかけたわけではなく、たまたまムネと目があった瞬間に、彼は「緊張しますよ~」って笑っていました(笑)。

――二番起用当日に、今季初打点を挙げ、次の日には今季初ホームランを放ち、その後はホームランを連発しています。「うまくハマったな」という実感があるのでは?

髙津 確かに「やってみてよかったな」という思いはありますね。僕は、バッティングに関してはド素人ですけど、技術的なことに関しては大きく変わっていなくても、雰囲気を変えたり、気分転換を図ったりすることで、チームの流れや勢いがよくなることがある。そんなことを実感しましたし、チームとして、何らかの変化をもたらしたのは確かだと思います。僕では考えられなかったことを提案してくれたコーチに感謝です。

――20日の横浜DeNAベイスターズ戦からは山田哲人選手も「六番・セカンド」で一軍復帰を果たしました。このとき、「僕は六番を重視している」と語っていましたが、その意図とは?

髙津 今の打線を考えると、六番というのは、ほぼランナーがいる状態で回ってくることが多いです。そのときに確実性があり、長打力もあるバッターがいると、得点力は間違いなく上がります。やはり、そうなれば相手へのプレッシャーは大きくなるし、また違った繋がり、流れが生まれてくる。そういう意味では哲人が六番にいることすごく大きいと思います。

――山田選手が戦線離脱した際には「以前もやった箇所なので、復帰に関しては慎重を期して見極めたい」と語っていました。「今が、その時期だ」という判断だったのですか?

髙津 監督の本音としては「すぐにでも復帰してほしい」というのが正直なところです。ましてや、哲人はキャプテンですから、彼がベンチにいるといないとではチームの士気に関しても、ムードに関しても大きく変わってきます。だけど、同じ個所を繰り返しているということも含めて、コンディショニングサポートグループからのゴーサインをただ待っている状態でした。日々の報告はもちろん入ってくるので、順調に回復していることは伝わっていましたけど、僕の方から「早く復帰させろ」と言うことは一度もありませんでした。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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