リーグ2制覇達成から翌年、まさかの5位転落という屈辱を味わった髙津ヤクルト。主力の不調や投手陣の不安、チームの歯車はまったくかみ合わず、覇者の面影は消えていた。
そして今シーズン。「ヤり返せ!」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図り、長いシーズンを戦っていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、雪辱を誓う髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――開幕から2週間が経過しました。神宮球場での開幕3連戦は2勝1分と幸先のいいスタートを切りましたが、直後に4連敗も喫して、12日の試合前時点では3勝6敗1分となっています。この間、開幕戦でいきなり、キャプテンの山田哲人選手、クローザーの田口麗斗投手が離脱する非常事態に見舞われました。
髙津 詳しい状況は話せないけど、哲人に関しては何度も繰り返しているので、そんなにすぐによくなるとは考えていません。「少し時間がかかるだろう」というつもりで、他の選手たちに何とかカバーしてもらいたいと思っています。田口に関しては、まだ万全の状態ではないので、「もう一度、きちんと調整した方がいいだろう」という判断で、ファームに行ってもらうことにしました。
――「クローザー不在」ということで、開幕前に考えていた「勝利の方程式」の再編を余儀なくされることとなりましたが、この点についてはどう対応していきますか?
髙津 あの時点としては、あえて代役を決めることはせず、流動的に考えることにしました。「7回だから誰、8回だから彼、9回は……」と固定せずに、試合展開や相手打線、相性等によって変えていくつもりでした。
――監督は常々、「四番とクローザーは固定したい」と話しています。「不動のクローザーがいない」ということは、監督にとってはどのような心境なのでしょうか?
髙津 最後に投げる人が決まっていないということは、決していいことだとは思っていません。けれども、「田口がいないから、代わりに彼を使おう」というほど、クローザーは誰にでも務まるポジションではないので、ひとまずは「固定せずに流動的に」と考えました。田口が戻ってくるまでの間に、誰かに固定するかもしれないし、固定できなければ、みんなに頑張ってもらうしかない。そう考えています。セカンドと抑えが決まっていない今が、他の選手にとっては大チャンスなんですが……なかなか上手くいっていないのが現状です。
――4連敗期間中は、先発投手陣が試合を作るものの、中継ぎ陣がリードを守れずに逆転を許してしまう場面が目立ちましたが、7日のタイガース戦では、清水昇投手に9回を託して勝利をつかみました。
髙津 さっきも言ったように、後ろの投手はできるだけ固定して、「それで打たれたらしょうがない」という形にするのが理想です。清水の場合は、開幕早々2敗を喫してしまった。モヤモヤした思いを抱えたまま間隔を空けたくなかったので、大事な場面を任せました。これは僕にとってもある意味では賭けでしたが、うまくいってよかったです。ただ、そこを固定できていないモロさも出てしまいました。