東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2024

「昨年の悔しさを晴らしたい」
苦しい状況でも、前を見続ける髙津監督の強い思い

チームスローガン「ヤり返せ!」に込めた思いとは?

――今年のチームスローガンは「ヤり返せ!」と決まりました。いくつかある候補の中から、最終的に監督が決めたそうですが、このフレーズに込めた意味を教えてください。

髙津 とにかく、去年が悔しくて仕方がなかったんです。あれだけボロボロに負けたわけですから。だから今年は、もちろん「相手に勝つ」ということが最大の目標ではあるんですけど、ただ相手に勝つことだけではなく、「去年感じたこの悔しさを払拭したい」「この気持ちを晴らしたい」という思いも込めて、「ヤり返せ!」としました。

――優勝を目指すのは当然のこととして、同時に監督はもちろん、選手たちの中にある「モヤモヤした思いを晴らしたい」という意味合いでしょうか?

髙津 そうですね、それが正確な表現だと思います。もちろん勝ちたい、優勝したい、みんなで喜びたいです。でも、その前にまずは昨シーズンの悔しさを晴らして、昨年の失敗を取り戻したい。そんな思いも強くあります。

――昨年は、優勝した阪神タイガースに対して7勝17敗1分と大きく負け越しました。Ⅴ奪回のために、まずは「打倒タイガース」で臨むのでしょうか?

髙津 いや、タイガースだけに勝ってもダメです。僕としては「全部の球団に勝ちたい」と思っているので、交流戦は別として、「打倒5球団」の気持ちです。

――以前、「開幕直前までは、“今年は誰が活躍するのか?”“どんな選手が台頭してくるのか?”、ワクワクしているだけど、開幕してからは辛く苦しい日々が始まる」と話していました。今は「ワクワクしている」という気持ちなのでしょうか?

髙津 いや、「ワクワクする」という感覚はないですね。「もっとこうした方がいいんじゃないか?」「もっといい方法があるんじゃないか?」という思いは強いです。正直、開幕当日の今も、いろいろなことを考えていますけど、「もうやるしかないんだ」と腹を括っているというのが、正直なところでしょうか。

――さて、今年も「チームスワローズ」としてファンのみなさんと一体となって戦うペナントレースが始まります。ぜひ、ファンの方に監督からのメッセージをお願いします。

髙津 毎年言っていることですけれど、ファンの方にはぜひ楽しんでいただきたいです。僕らは単純に「楽しむ」ということはできないけど、ファンのみなさんは「野球を楽しむ、勝負を楽しむ」ことができます。僕らは、「今年も野球ができるんだ」という幸せを噛み締めつつ、みなさんが楽しんでいただけるような試合をします。ぜひ、楽しんでください。今年も「応燕」、よろしくお願いします!

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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