リーグ2制覇達成から翌年、まさかの5位転落という屈辱を味わった髙津ヤクルト。主力の不調や投手陣の不安、チームの歯車はまったくかみ合わず、覇者の面影は消えていた。
そして今シーズン。「ヤり返せ!」というスローガンを掲げた髙津監督は、どんなビジョンでチーム再建を図り、長いシーズンを戦っていくのか。本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、雪辱を誓う髙津監督のマネジメント術をお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――いよいよ、2024年ペナントレース開幕を迎えました。今年もシーズンと同時進行で、監督の思いを伺っていくこととなりました。監督就任と同時に始まったこの連載も5年目となります。今シーズンもよろしくお願いいたします。
髙津 もう、5年目ですか。今年もよろしくお願いします。
――キャンプ終了時点では「今年のキャンプは50点」と言っていました。その理由を詳しく教えてください。
髙津 キャンプ前というのは、やりたいことがたくさんあるんです。でも、せっかく天気には恵まれたのに、なかなか上手く実現できないこともたくさんありました。それで「50点だ」と言いましたけど、「もっとできたな」とか「あれも試したかった」というのは、毎年感じることなんですけどね。
――昨年のキャンプは「3連覇を目指すぞ」という目標を持ってスタートしました。今年は前年5位からのスタートでした。キャンプに臨む心境に違いはあるのですか?
髙津 毎年、「今年はどんなチームなのかな?」とか、「今年も頑張るぞ」という思いは一緒ですけど、今年の場合は危機感を強く持って臨みました。キャンプを終え、オープン戦期間中も「現状、今の戦力で戦えるのか?」「どうすれば乗り切れるのか?」という思いは強いです。不安なことばかりが頭をよぎるのも、正直な思いです。
――キャンプイン時点での目標や課題はどんなことだったのですか?
髙津 これはキャンプだけに限ったことではないけど、「1年間、元気に戦える身体作り」というのが第一の目標でした。もちろん、技術も磨いていかなければいけないんだけど、怪我をしないこと、体力をつけること、走る力、(バットを)振る力、(ボールを)投げる力をつけることを第一にしました。
――しかし、キャンプ、オープン戦を通じて、「コンディション不良」という報道が、しばしば見受けられる事態となりました。
髙津 正直、「一体、どうしてここまで負傷者が出るのだろう?」と首を傾げている毎日です。根本的にどこに問題があるのか、これまでもずっと考えてきましたが、今もまだ打開策が見つかっていないのが現状です。開幕前に数名の選手が戻ってきてくれたことは、不幸中の幸いですが。