人類が誕生した時、まず心ができたのだろうか。それとも身体が先にできたのだろうか。
科学や哲学、宗教に至るまで、様々な側面からこの問いは考えられてきた。
しかしながら、未だに結論は出ていない。
もしかしたら同時にできたかもしれない。そんなことを人類は延々と考えながら、後世でも問い続けていくのだろう。
一方で、また別の問いがある。
「心と身体は繋がっているか?」もしくは、「心と身体は別か?」。実はこの問いに対しては、結論じみた研究結果が生まれつつある。
興味深い研究結果を紹介しよう。
2022年にニューヨーク州立バッファロー大学の研究者、デビッド・S・リー博士は、ソーシャルメディアの使用と身体的な健康指標との関連に関する研究結果を発表した。
研究結果をお話しする前に、この研究の概要を超分かりやすく、かいつまんで説明しよう。
この研究の目的は、先述のとおり「人々が使用するソーシャルメディアの量が身体的健康の様々な指標とどのように関連しているか」を調査することである。
従来、ソーシャルメディアの利用が心理的幸福とどのように関連しているかについては、多くの研究がされてきた。今すぐ検索エンジンや研究機関の論考を漁れば嫌というほどレポートが出てくる。
一方、ソーシャルメディアの利用が身体的健康とどのように関連しているかの研究は、心理的幸福の研究に比して非常に少ない側面がある。そこで本研究では、人々が使用するソーシャルメディアの量が身体的健康の様々な指標とどのように関連しているかを調査するに至った。
要は、「SNSの心への影響だけではなく、身体への影響も調べたよ!」……そんな感じである。
確かによく考えてみると、ソーシャルメディアを使ってみて見たくないものや知りたくないものに触れる機会は増えた。もちろん有益な情報に触れることもあるが、正直このご時世ではちょっと稀な気がする。
誰もがおっかなびっくり、怖いもの見たさの欲求から、SNSというニーチェもびっくりの深淵を覗いている気さえする。
見たくないものや知りたくないものを覗いてしまった瞬間、気分は害され心理的な幸福は阻害される。これは現代に生きる人なら、誰しも経験があるだろう。
その瞬間、誰もがメンタルにダメージを受けたことを自覚できる。
一方、じゃあそのダメージが身体にどんな影響を及ぼしたか、説明できる人はいるだろうか? その説明に論拠を与えるべく、バッファロー大学のデビッド・S・リー博士が立ち上がったというわけである。
研究ないし調査の方法は簡単。
調査対象のサンプルの人々にSNSを操作させ、その後血液等の身体検査を行い、実際に起こした行動(調査期間中の体調不良による病院への往来回数等)の動向を取りまとめる、そんな手順。
ではお待ちかねの研究結果発表である。
ハイ、ドラムロール用意して。なければ口でやります。
デュルルルルルルルルル……
研究の結果、
「ソーシャルメディアの使用は、CRP値の上昇、身体症状の増加、病気のための医師や保健所への受診の増加と正の相関があった!」
です!!!!
…………………………分かるかあ!!! 分かりづらいわ!! は? である。
誰よりもこれを書いている私が、「は?」である。
なんだよ、CRP値の上昇って!
CRP自体がなんだよ!
ちょっと(C)、連休で(R)、ポジティブ!!(P)の略ですか??
ハイ、ということで、また超かいつまんで説明します。
研究の結果、
「ソーシャルメディアを過度に使用した対象サンプルの人々は、過度に使用しなかった人に比較して、病院等の医療機関にお世話になった回数が多かった! さらに、採取した血液からも、過度にソーシャルメディアを使用した人々は不健康の警告として解釈できるタンパク質の量が多いことが確認された! 以上!!」
そんな感じである。
つまり、ソーシャルメディアを過度にやりすぎると、元々身体は何もダメージを受けていないのに、メンタルへのダメージから身体を壊すことが立証されたのである。