「実践に勝る経験なし」という言葉があります。
どのようなジャンルでも、場数を踏むたび、また本番形式のトレーニングを真剣に行うたび、レベルは高くなっていきます。
本番の緊張感は練習では味わえません。
真剣に取り組めば、たとえ結果が出なかったとしても、残る経験は大きいものです。
具体的な勉強方法について、勉強する人の多い英語で考えてみましょう。
英語を勉強する人は、大学などの入試を受ける人と、キャリアアップのためにTOEIC などの英語検定を受ける人がほとんどであると思います。
私も転職を検討した際に、TOEICを受験した経験があります。
TOEIC を受けようと考えたのは、良いスコアを得て選択肢を増やすことが目的でした。大学生の時以来、二回目の受験で、行政書士試験の勉強と並行して学びました。
結果は半年ほど勉強して、820点でした。このスコアを提出し、英語を日常的に使用する外航海運会社に転職しました。
受験前は業務で英語は使っておらず、趣味で学ぶこともなかったため、英語に触れるのは大学入試以来、約10年ぶりでした。社会人で資格試験を受ける場合は、同じような状況の方が多いでしょう。文法や単語はほとんど忘れており、最初は英文を読んでも、意味がすぐに理解できませんでした。
これまでの連載で書いたよう、何かの試験に挑戦するとき、最初に行うべきは、過去問を見ることです。TOEICを受験した際は、過去問が公表されていないため、本番と同じ形式である公式問題集を購入し、形式と問題のレベルを調べました。それが必要な理由は、勉強開始前に、最終的にどのレベルに到達すれば良いかを理解しておくためです。
また、試験形式を把握することで、必要な勉強内容を確認することができます。例えば TOEICでは細かい文法は理解していなくても、大半の問題には正答が可能です。そのため、文法のことはまったく勉強しませんでした。それでも外資系企業に入社するために必要な800程度のスコアは取れますし、実務で海外とやり取りするのにもさほど困りません。高校で勉強していた時は、関係代名詞や、不定詞の名詞的・形容詞的・副詞的用法やらの単語を聞いたような記憶がありますが、すべてなんとなくしか理解していません。ある程度のスコアを取る目的であれば、その程度で大丈夫です。
もちろん、大学受験の際に、志望する大学の入試に文法問題が多く出題されるならば、 勉強方法は全く違います。ここでの文法の勉強をカットしたのは、単語の意味が分かれば、文法をあまり理解していなくても、目標の点数を取ることに支障はないと判断したからです。
このように、目標に応じて練習メニューを変えるのはスポーツでは一般的です。勉強でも、目標に到達するプロセスに違いはないので、同じように目的に応じてメニューを組み立てるべきです。
格闘技でも、私は実践形式のスパーリング以外に、技の練習や筋力トレーニングなどのメニューは一切行いません。これは時間を節約するためで私の状況と可処分時間に合わせたメニューであり、強くなることが目的であれば、技の精度を上げる打ち込みや、体力強化をした方がいいのは間違いありません。
なぜこのような練習をしているかというと、制約がある中で試合に勝てるレベルに近づくためには、実戦形式のスパーリングを繰り返すことが効率的だと判断しただけです。これが最も良い練習方法だとは思ってはいません。
この方法では、技の精度が上がらず、間違っている部分の修正ができなかったり、新しい技を覚えられなかったりするので、一定のレベルより上には行けません。とはいえ、社会人で働きながら練習をするには時間の限界があるのでこの選択をしました。
勉強も同じです。英語で生計を立てることを考えないなら、設定したレベル以上に努力する必要はありません。むしろ、必要がないのに目標以上のレベルに到達するまで努力をすると、他のことを学ぶチャンスを失います。外資系企業に就職するなどの目標があるのならば、必要なスコアをあらかじめ転職サイトで調べ、それを取れる勉強を行うということが効率的です。
それでは、勉強する方法について考えてみましょう。
過去問を確認したら、後は実践あるのみです。