前述のとおり、内定の通知は企業から口頭やメールで行われることも多いが、もし企業側の都合で取り消された場合、求職者側が損害賠償などを求めることはできるのか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士はいう。
「いわゆる『内定』とは、法律上、『始期付解約権留保付労働契約』といった、お経の文句のような契約をいいます。漢字は、一つ一つ意味があるので読み解くと、『始期付』とは労働(雇用)契約が始まる時期が定められたという意味で(たいていの場合、大学卒業後の4月2日などでしょう)、『解約権留保付』とは一定の場合(例えば、就職まで犯罪をしたら会社側が内定を取り消すといったもの)には労働(雇用)契約を解約できるという意味です。ただし、この『解約権』とは、会社側の一方的都合で内定を取り消すことができるというわけではなく、裁判例上、書面等であらかじめ決められた事項に該当した場合に限って解約(内定取消)ができるとされています。
このため、内定時に『どういった場合は内定が取り消されるか』といったことが明確にされていない限り、会社側の一方的都合の内定取消は無効です。この場合、内定が取り消されなかった場合の一定期間の給与分などを請求できる場合があるので、すぐに弁護士資格のある者に相談しましょう(ネットなどでのインチキ相談は意味がありません)」
(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)