――事業計画が進められないとなると、解体することもできず、現状のまま放置されることになるのでしょうか。
「その可能性が高いですね。これは中野に限った話ではなく、都内をはじめ全国各地で大型プロジェクトが止まるという現象が起きています。オフィスの賃料やマンションの販売価格が上がってくれば釣り合いは取れるのかもしれませんが、今のところは建築費だけが先行して上がっている状況で、事業の採算が合わないのです」(同)
――現在の計画では着工や完成の見込みが立たないということは、どこかしらの費用を削る必要に迫られるのは避けられないですね。
「規模を縮小するか、収益性の低い施設をやめるなど、大幅な見直しをしなければ建て替えは難しいですね。収益性が低いのは公共施設やホールということになるわけですが、区の権利があるので、これらをなくすことはできないでしょう。したがって、周辺の住宅価格やオフィス賃料などが大きく上がってこなければ、現状では事業の採算が合わないので、事業者としても動きたくないはずで、当面、計画を進めるのは難しいと考えられます」(同)
建築費が高騰しているのは全国どこでも同様だが、大規模な事業では上振れる金額が膨大になる。中野区のシンボルだった中野サンプラザが、解体もできずに廃墟のようにたたずむ状況は、長引かせてほしくないものである。
(文=Business Journal編集部、協力=牧野知弘/オラガ総研代表取締役)