“三菱商事と三井物産に追いつけ・追い越せ”という時代が長かったこともあり、上の世代にはものすごいバイタリティで海外に飛び込んでいって事業を切り開くというブルドーザー型の社員が結構いるが、最近では“ほんわか”タイプやスマートな若手社員も増えており、新興国含めてどんどん海外に出て仕事をしたいというタイプは減っているような気もする」
出世競争は激しいのか。
「正直よくわからないし、人によるとしかいえない。ただ、今は20時以降は就業が禁止されていて、働く環境もホワイトになり、上に上がらなくてもそこそこ高い給与をもらえるようになったので、出世競争というのが起きにくくなっている。また、特に若手・中堅社員の出世欲は昔に比べて確実に薄まっており、それはどこの日本企業も似たようなものではないか」
伊藤忠の課題としては、どのような点が挙げられるか。
「いまだに年功序列色が強く、例外を除けば課長になれるのは早くても30代後半、部長は40代なので、優秀な社員ほど“待っていられない”ということで外資系コンサルティング会社などに転職する人は少なくない」
「今の伊藤忠はDX関連事業やBtoC事業などを拡大させていく方針だが、上の世代には『貿易しかわからない』『繊維取引しかわからない』といった社員も少なくなく、全社的にみると新規事業開発という面ではあまりうまくいっていない気がする。なので今は自社で新規事業を立ち上げるというよりは、外の金になりそうな新規事業を見つけてきて投資をするというベンチャーキャピタル的な色が濃くなっている」
(文=Business Journal編集部)