バーバリー苦境、契約切られた三陽商会が好調の皮肉…実は両者の業績は無関係

 LVMHといえば、パリ五輪・パラリンピックのスポンサーになったことが大きな話題になった。このような話題性が、業績を押し上げると考えられるだろうか。

「確かに五輪協賛は大きな宣伝効果があると思います。それが今後、業績に良い影響を与える可能性はありますが、それ以上に今は中国の消費落ち込みが大きいといえます」(同)

 インターネット上では、「三陽商会を切ったバーバリーが苦しんでいる」という論調が目立つ。バーバリーが三陽商会を“切った”ことは失敗だったといえるのだろうか。

「三陽商会との契約を解除したことと、バーバリーの業績が落ち込んだことは、関連がないといえます。あえて関連づけるとするならば、キーワードは『中国市場』ではないでしょうか。私の見解としては、バーバリーが三陽商会を切った原因は、中国市場だと思います。良好だったバーバリーと三陽商会の関係が悪化したのは、三陽商会が香港に進出した後です。香港で成功を収め、中国本土への進出をもくろんだ三陽商会に対し、バーバリーがストップをかけました。バーバリーとしては、ライセンスビジネスではなく直接、中国に乗り込むことを狙っていたからです。そのあたりから両社の関係に溝が生まれ、契約解除に向かったと考えられます。

 三陽商会の好調の要因が中国人をはじめとする訪日外国人にあり、バーバリーの不振の要因が中国市場の落ち込みであることを考えると、キーワードは『中国市場』であると思います。

 人口だけでいえば中国よりインドのほうが多いわけですが、経済力、輸出入や国内消費なども含め、中国の市場は非常に大きく無視できない市場といえます」(同)

 三陽商会の好調とバーバリーの不調には関係がないとはいえ、対照的な業績を見ると皮肉なものだと感じる人が多いのだろう。

(文=Business Journal編集部、協力=磯部孝/ファッションビジネス・コンサルタント)