NHK、将来的に「全スマホ保有者からネット視聴料を徴収」か…月額1100円

 そして、放送番組の同一化についてはこう書いてある。

「放送対象地域自体は変更せず、希望する地上テレビ局が、総務大臣の認定を受けることにより、複数の放送対象地域において放送番組を同一化できる制度を創設する。(例えば、同系列の隣県で同一化)」

 民放キー局関係者はいう。

「要は、国民から徴収したNHK受信料を、経営悪化の民放ローカル局の救済に使うというもので、まったくもって、おかしな話。こうしたNHKと民放局の協力関係もあるため、民放各局もNHKがネットでオリジナルコンテンツを配信することには強く反対する一方、受信料の問題については沈黙を守っている」(3月2日付当サイト記事より)

これまでの経緯

 NHKは2017年に公表したNHK受信料制度等検討委員会の答申案で、スマホやインターネットの利用者からも受信料を徴収する検討を始めており、過去の有識者会議でもテレビを持っていなくてもスマホなどで積極的に放送を見る人については「負担を議論していく必要がある」との意見が出ていた。

 総務省も22年から公共放送ワーキンググループ(WG)にて、将来のNHKのネット関連事業のあり方に関して議論を開始。焦点は、ネット事業をNHKの「必須業務」に変更するかどうかという点だった。現在は放送を補完する「実施できる業務」として位置づけられており、配信コンテンツはNHKで放送される内容の「理解増進情報」に限定されている。

 23年4月の同WGの会合では、スマホなどで放送を視聴できる環境にある人からの受信料収入が、NHKの財源として望ましいとする意見で一致。専用アプリの利用者から受信料を徴収する案などが検討されてきた。

(文=Business Journal編集部、協力=水島宏明/上智大学教授)