では、そうした厳しい環境において、上司による、あからさまなパワハラ行為や“激詰め”といった法的に問題になりそうな行為というのは、コンプライアンスが重視される外資では少ないのか。
「ないわけではない。ボスも高いパフォーマンスをあげている優秀な部下には残ってほしいから優しくする一方、できない部下には冷たく接したり無視したりすることはある。ただ、上司は毎年、部下からも査定されるので、あからさまなパワハラみたいなことはほとんどみられない」
「上司から『なんで、こんな基本的なこと知らないの?』『なんのために席に座ってるの?』などとメチャクチャ詰められることは、しょっちゅうあった。入社1年目でも高額な給料をもらっている以上は、知らないということは許されないという空気がある。なので上司の言うことは正論なので反論しようがなく、怒られても納得するしかない。また、ちょっとミスしただけで同じ部署の外国人のメンバーから英語でキレられたり、八つ当たりされたりというのも日常茶飯事だった」
気になるのは高額といわれる報酬だ。
「外銀の一番の魅力は給料。今だと1年目でも1000万円を超えて、7~8年いれば普通に2000万円は超えてくる」
「2000~3000万円というのは珍しくなく、1億円を超える人もいる」
「投資銀行部門だと1年目は1000万円くらいで、4~5年いると1000万円台後半を超える。深夜まで仕事していると帰宅のタクシー代や夕食代が支給される会社もあり、激務で遊ぶ時間もないので、“なんとか5年は生き残って、その間はお金を使わず貯める”と決めて起業資金や投資の元手をがっつり貯めてから辞めて、自分の道に進むというのが賢い」
外銀に勤めるメリットは報酬だけではないという。
「新卒で外銀に入って、60歳までそこにずっといるという人は、ほぼいない。数年で転職していくのが普通だが、外銀に数年いたという経歴は高く評価される傾向があり、転職で困ることがないというのは意外なメリットといえる」
(文=Business Journal編集部)