NTTドコモ、楽天Gとの協調に言及…大手キャリアの楽天モバイル買収あるか

「支援」に言及する声

 楽天Gをめぐっては最近、競合する国内キャリア大手から「支援」に言及する声が出ている。ソフトバンクの宮川潤一社長は24年3月期第2四半期決算説明会で、楽天モバイルが基地局を10年間で1万局設置、500億円の設備投資という計画について「このペースでは700MHz帯は生きない。1.7GHz帯と700MHz帯を組み合わせるときに、ソフトバンクの基地局の場所が適しているというのであれば議論に応じる」「バックホールを貸すことについても議論してもいい」などと発言。2月7日の会見でも楽天モバイルの基地局設置計画について「1万と言わず、7万、8万と全国で自前の設備をつくってほしい」として、伝送路、基地局のエリア、電源周りの工事などで協力してもいいと語った。

 また、楽天モバイルの携帯事業開始時から同社に自社回線の一部を使用させるローミング協定を結んでいたKDDIの高橋誠社長も、昨年5月の会見で、楽天Gによる取り組みのおかげで楽天ペイの加盟店でau PAYの決裁ができるようになったことや、ECで楽天Gのロジスティクス事業を活用していることを説明。両社の関係について「Win-Winの関係」だと表現している。

「NTTドコモやKDDI、ソフトバンクが楽天モバイルの買収なりを考えているということは、ないだろう。他の大手3社は、楽天モバイルが単独で黒字化することは難しいと考えているので、当然ながらそんな事業を手に入れようとは思わないし、仮に楽天モバイルがつぶれても同社の契約者は自然と他の3社に流れるので、経営危機に陥ったとしてもわざわざ救済する必要もない。ただ、楽天G全体でみるといろいろと協業できそうな魅力的なサービスが多いのは事実であり、『●●経済圏』としてはもっとも成功している楽天経済圏には興味がある。競合他社とはいえNTT法改正問題など総務省への対応などでは歩調を合わせるなど、数年程度とはいえ同業者として一緒にやってきたことで親近感を抱く部分はあるだろう。

 かつて楽天がプロ野球に参入する際や携帯事業に参入する際にもあらわになったように、一見攻撃的にみえる三木谷さんは年上の重鎮、諸先輩方に取り入るスキル、好かれるスキルが高く、各キャリアのトップとは良好な関係を築けている。なので『何かあれば手は貸しますよ』という程度のことだろう」(大手キャリア関係者)

(文=Business Journal編集部)