? 反対に、マンション化率が全国で最も低いのは青森県の0.96%です。1%を切っているのは、青森県だけで、マンション住まいは100世帯に1世帯もないことを意味しています。そのほか、秋田県が1.49%で、山形県が1.73%、福井県が1.92%、岩手県が2.72%などとなっています。マンション化率が低い県としては、東北地方の各県が並んでいるようです。東北地方のように寒冷で雪の多い地域であれば、戸建住宅よりマンションのほうが快適に住めるのではないかと思うのは著者だけでしょうか。
そこで、前年からの増加率をみると、青森県、秋田県、岩手県、山形県は0.02%の増加で、わずかとはいえ、マンションに住む人が増えていることを意味しています。全国的にみると、山梨県は0.02%のマイナスで、静岡県、奈良県はマイナス0.01%となっています。それに比べると東北各県ではほんとうにジワジワとですが、マンション化が進行しているといってもいいのかもしれません。
東京カンテイでは、都道府県別とは別に行政区別のマンション化率も調査し、上位の市区町村のランキングを公表しており、そのベスト10が図表2にある通りです。マンション化率が最も高かったのは東京都中央区の83.28%でした。中央区といえば、わが国を代表する日本橋、八重洲、銀座などのビジネス街、ショッピング街がありますが、再開発によって利便性の高いエリアでのマンションが急増しており、マンション化率が高まっています。
特に、湾岸部での超高層マンション街の開発が活発で、晴海では、東京オリンピックで選手村として活用された「晴海フラッグ」が開発され、5000戸以上の分譲マンションが供給されましたし、そのほかには総戸数1000戸前後の大規模マンションが少なくありません。そのため、東京都中央区のマンション化率は、前年と比較すると4.46%も高まっています。これは、マンション化率の高い市区町村のなかでも出色の増加率です。
東京都中央区に次ぐが、東京都千代田区の80.96%で、マンション化率が80%を上回った市区町村はこの2区だけでした。千代田区といえば、大手町、丸の内、有楽町などのビジネス街が代表格で、霞が関、永田町などの官庁街もあり、マンションとは縁遠い世界のように感じますが、最近はビジネス街やショッピング街の再開発において、職住近接型のマンションが設けられることが少なくなく、人気を博しています。また、超富裕層向けのラグジュアリーマンションも続々と誕生するようになっています。それが、高いマンション化率につながっているのでしょう。3位の東京都港区は76.96%、4位の大阪府大阪市中央区は73.80%で、70%台はこの2区だけで、5位以下は60%台以下となっています。
そのなかで注目しておきたいのが、大阪市の中心部の各区。4位に入った中央区は、本町、淀屋橋などのビジネス街が中心ですが、駅周辺での再開発によって駅直結型の利便性の高い超高層マンションが次々に建設されています。同様に北区はJRの大阪駅、阪急・阪神電鉄などの梅田駅、大阪メトロ各線の梅田駅、東梅田駅、西梅田駅などがある大阪の玄関口ですが、梅田駅を中心に大規模な再開発が進行していて、超高層マンションが林立するようになっています。西区も同様で、大阪メトロの四つ橋線、中央線、千日前線、長堀鶴見線の各線のほか、阪神電鉄の阪神なんば線も走っていて、交通アクセスが充実、各駅の近くでマンションの開発が相次いでいます。