陽の当たらない場を歩き続ける人生といえば、思い浮かぶのが逃亡犯だ。借金かカードローンなどの踏み倒しも、ある意味では逃亡犯と言えなくもない。
その逃亡犯について、先月、驚くべきニュースが世を駆け巡った。1970年代、三菱重工業ビル爆破事件への関与が疑われている過激派「東アジア反日武装戦線」のメンバー、桐島聡容疑者の身柄が確保された。
時間がたつにつれ、その50年にわたる逃亡劇の詳報が明らかになってきた。地元社会に溶け込み、行きつけの音楽バーのライブでは、時に「イェイイェイイェイ」と盛り上げるなど、意外にも楽しみを見いだしながらの逃亡生活だったようだ。
カネ、借金からの逃亡も、エクストリーム層に属するうちの入居者たちを見ていると、桐島容疑者同様、厳しく苦しいなかでも、案外、楽しく日々を過ごしているようにみえる。
だが、区切りをつけないせいか、何十年も「どこからも借り入れ不可」の状態が続く。その間、可能性は限りなく低いのかもしれないが、強制執行の可能性に怯えなければならない。
やはりどこかで区切りをつけて、人生をやり直すほうが、より良い人生を送れるのではないか。大事なのは何事も逃げずに向き合うことだ。
(取材・文=春川賢太郎/エクストリーム大家、文筆家)