激安の開発費のスイカゲームのヒットでAladdin Xが得る「多額利益」

激安の開発費のスイカゲームのヒットでAladdin Xが得る「多額利益」の画像1
『スイカゲーム』(「マイニンテンドーストア」より)

 Nintendo Switch版『スイカゲーム』の世界累計ダウンロード(DL)数が400万を突破した(11月14日時点)。10月6日に100万DLを達成してから、わずか約1カ月で300万DLもの上積みが生じるという異例のヒットとなっているが、国内に限らず海外でもヒットするに至った要因とは何か。また、同タイトルはもともとpopInが販売する照明一体型3in1プロジェクター「popIn Aladdin」の内蔵アプリの一つとしてリリースされたもので、そこから切り出すかたちでほぼ同じ内容でNintendo Switch版が発売されたという経緯があり、ゲームタイトルの開発費としては破格の低さであるとみられ、現開発・販売元のAladdin Xにもたらされる利益は多額に上るという見方もあるが、どれほどの規模だと推察されるのか。業界関係者の見解を交え追ってみたい。

 前述のとおりスイカゲームはプロジェクター内蔵アプリとして2021年5月にリリースされ、一部ユーザーから好評を受けたため同年12月にNintendo Switch版がリリース。それから約2年が経過した今年9月に複数の人気インフルエンサーのゲーム解説動画などで取り上げられたことを契機に人気に火が付き、瞬く間にDL数が100万を達成し、任天堂の公式ストア「マイニンテンドーストア」のソフトダウンロードランキングで1位を獲得。一時期は任天堂製の新作である『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』や『帰ってきた 名探偵ピカチュウ』などを上回るほどの勢いをみせ、非正規のスマホ版がアップルの「App Store」の「無料ゲームランキング」で1位を獲得してしまい、Aladdin Xが注意喚起するという事態まで発生。

 10月23日には国内累計200万DLとなり、同月20日に海外向け配信も始まると、米国の「ニンテンドーeショップ」でダウンロード専用タイトルとしてDLランキング1位に浮上。たった1カ月で200万DL増の世界累計400万DLという快挙を成し遂げた。

「開発元がどこまで意図していたのかは不明だが、超わかりやすく、隙間時間に気軽に楽しめる点や、キャラクターのかわいさ、フルーツが進化に発展するかどうかの偶然性の絶妙さ、さらには240円という圧倒的な安さが全てそろったことが異例のヒットにつながった。同じタイミングで似たようなゲームがヒットしていたためという分析もみられるが、どれもこれも後付けの理由で、ここまでヒットした本当の理由は誰もよくわからないというのが正直なところ」(ゲーム業界関係者)

開発元が得る利益の規模

 同タイトルで注目されているのが、もともとはゲームタイトル単体での一般販売が想定されておらず、あくまでpopIn社製プロジェクターに標準で内蔵される一アプリとして開発されたという点だ。家庭用スマートプロジェクターメーカーのXGIMIが22年にpopIn社の「popIn Aladdin 」事業を買収し、新会社・Aladdin Xを設立したという経緯より、現在のスイカゲームの開発・運営元はプロジェクターメーカーであるAladdin Xとなっている。

 現在、ゲームの新タイトル開発は多額の費用を要し、スマホゲームでは10億円以上、高精細なグラフィックのソニー・インタラクティブエンタテインメント「PlayStation 5」向けゲームでは100億円以上になることも珍しくないといわれる。一方、スイカゲームは箱にフルーツを投入しながらスコアを稼ぐという非常にシンプルなパズルゲームであり、高精細なグラフィックなども使用されていない。よって、ゲームタイトル単体での利益獲得が見込まれていなかった点からも開発費はかなり低く抑えられていたと推察される。