現状、国内では決済シェアでみればVisaが約5割を占めており、JCBは約3割ほどで差は大きい。それでもJCBはVisaの強力な競合相手といえ、クレカ市場におけるVisaの独占を防ぐ上で重要な存在であることは間違いない。あくまで仮の話として、もしJCBがなくなればVisaのシェアが上がり市場支配力が高まるので、年会費や店舗など事業者が支払う手数料のアップ、ポイント還元率の低下などによって日本の消費者・事業者が不利益を被る可能性はある」(金融業界関係者)
また、カード市場を取り巻く変化について別の金融業界関係者はいう。
「PayPayや楽天ペイといった決済サービスの普及により店頭でクレカを使用する機会は減りつつあるが、決済サービス利用時の支払い手段としてクレカを選ぶユーザは多く、クレカがないと生活上不便が生じるため一人1枚はクレカを持っているというのが現状。ただ、すでに若者層の間では『クレカをつくるのが面倒』という理由や保有のリスクなどからクレカを持たない人も増えており、店舗での支払いで主流になりつつあるペイ系ではチャージや銀行口座からの引き落としなどクレカ以外での支払いも可能なこともあり、長期的にみればクレカ市場全体がシュリンクしていく可能性もある。利用者が減れば、発行会社側は採算が取れないとして年会費や手数料を上げたり、撤退する企業が増えて寡占化が進み、生き残った企業が各種手数料を引き上げるというシナリオも考えられる」
(文=Business Journal編集部)