バラエティに変わるコンテンツとして、各局が力を入れているのはドラマだ。良質な作品を作れば、見逃し配信を含めて何度も観られる可能性が高い。
「確かにドラマ枠は増えています。フジテレビは10月から金曜日の9時もドラマ枠にして、週5本も放送しています。テレビ朝日も日曜日の夜10時台にドラマを増枠するなど、各局が力を入れています」(同)
TBSが7~9月期、制作費が1話1億円といわれたドラマ『VIVANT』を仕掛け、大きな話題となった。しかし、視聴率はそれほど伸びなかったため、地上波の広告収入だけでは莫大な制作費を回収できないのではないかともいわれている。
「TBSは手堅い会社です。キー局でTBSだけが地上波の広告収入のマイナスの部分を見逃しサービスとコンテンツの有料配信で補っている。『VIVANT』は、TBSがU-NEXTに出資して回収できる体制も整えたタイミングで仕掛けており、ビジネス的な勝算を計算したうえで製作していると思います」(同)
今後、地上波のライブ視聴率が劇的に改善することも、広告収入が増えることもない。その上で、各テレビ局は次の一手を模索している状況だ。
「地上波テレビ局というのは、インフラビジネスです。自前で構築した放送枠を使って、広告収入を得るというビジネスモデルでした。それが崩壊しつつあるいま、これまで2兆円近くあった広告収入を他で補わなくてはならない。今後、テレビ局は番組を製作・配信していくコンテンツプロバイダーとしての色合いが濃くなっていくでしょう」(同)
視聴者の時間の取り合いと、スポンサーの広告予算の取り合い、という過酷な競い合いのなかで、テレビ局のコンテンツ制作力が問われていくことは間違いなさそうだ。
(文=清談社、協力=鈴木祐司/次世代メディア研究所所長)