「フレンドリー会員制度は、なるべく安くジムに通いたい人にとっては非常に良い施策だと思います。また、他の一般会員もフレンドリー会員が清掃していることを知れば、綺麗に利用しようという意識が芽生えるといった自治的なコミュニティが生まれる。施設側にとっては、人件費の削減や人手不足を補えますし、こうした施策も会員数の増加と急激な出店ペースを支えていると思います」(同)
大胆なアイディアと隙のないビジネスモデルで、目標とする2000店に向けて加速していくchocoZAP。しかし、懸念点は大きく2つあると指摘する。
「まずは、急拡大による歪みですね。とにかく新規出店することに注力してしまうと、人材不足などが常態化し、サービスのクオリティが下がってしまうことはよくあります。また、混雑時の分散という意味で既存店舗の近隣にも新規出店するドミナント戦略を行っているようですが、いわゆるカニバリが起こる可能性もあり、店舗同士で会員の奪い合いになってしまうこともあるのではないでしょうか」(同)
新たな顧客層を掘り起こしているが、その新規会員たちが今後どういった動きをしていくかという予測は難しい。また会員数と店舗数のベストバランスなどについても、これから模索していくことになるだろう。
「もうひとつは、『コンビニジム』という業態の参入障壁の低さです。物件があればジム道具を搬入するだけという新規出店のしやすさについて解説しましたが、これは追随する他社も真似しやすいということ。新規ベンチャーなどが、さらに低価格のオペレーションで参入してくる可能性があり、そうなった場合は価格競争などの消耗戦になることも予想できます。また競合のエニタイム、カーブスも、それぞれ独自の戦略で対抗してくると思いますから、競争は一層激しくなるのではないでしょうか」(同)
たった1年で急拡大したchocoZAPだが、ここからはさらに未知の領域に踏み込むことになる。また既存会員の維持というのも重要な課題だ。トップを取ったフィットネスジム事業に「2年目のジンクス」はあるのか、注目が集まる。
(文=清談社、取材協力=鈴木貴博/百年コンサルティング代表)