高松中央商店街、活性化成功のカギは「えこひいき」…プレミアム地域ブランドの構築

今後の企業支援:“えこひいき”戦略の重要性

 ひょっとすると、今後の日本の成長に向けて、これまでの“公平”な支援から脱却し、“不公平”や“依怙贔屓(えこひいき)”を前面に出していくことが重要かもしれない。

 例えば、商店街の成功モデルとして注目される高松中央商店街へのフィールドワークを行った際、「限られた予算を長い商店街全体に投下しても効果は少ないため、商店街を6街区に分割し、まず北端のA街区、次に南端のG街区と年度を分け、集中して投下している」といった話を高松丸亀町商店街振興組合の理事長である古川康造氏から伺ったことがある。その際に、この戦略を“えこひいき戦略”と表現されたと記憶している。こうした結果、商店街の北と南の入り口付近は地方とは思えないモダンで豪華な作りとなっており、地元の消費者や観光客に大きくアピールしている。

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 また、先月インタビューに伺ったマルニ(長崎県雲仙市/https://farm-nishida.jp/)は「ココロとカラダに優しい野菜」をコンセプトに、皮ごと茹でた“まるゆで野菜”を製造販売するユニークな企業だが、創業の背景には「近隣農家の再生産にすら窮する安値での販売を止めたい」との思いがあったとのこと。そこで現在、自社工場から30分圏内の畑で採れた野菜のみを使用し、農家が納得できる価格で購入している。夫婦2人で営んでおられるが、このように地域に貢献している企業には行政から手厚い支援があってもよいかもしれない。

(文=大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授)