渋谷ツタヤ、CD・DVDレンタル終了へ、一時代の終焉…全面改装をCCCに聞いた

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SHIBUYA TSUTAYA(「gettyimages」より)

 東京・渋谷駅前のスクランブル交差点前に構える「SHIBUYA TSUTAYA」(以下、渋谷ツタヤ)が、一時休業・全面改装に伴いDVDやCDなどソフトコンテンツのレンタルを終了させることがわかった。渋谷ツタヤといえば、レンタルショップとして圧倒的に豊富な在庫を持ち、かつては高い集客力を誇り、渋谷のランドマーク的な存在として知られていたが、近年では動画や音楽の配信サービスの台頭などの影響もあり、集客に陰りがみえていた模様。全店改装に伴い10月31日から一時休業に入るが、一つの時代が終わりを告げることになる。

 渋谷ツタヤがオープンしたのは1999年、今年で24年目を迎える。地下1~2Fがコミック・トレカ・ゲーム販売、1~2FがDVD・CD販売、3~5FがDVD・CDレンタル、6Fが書籍販売、7Fがカフェ、8Fがイベントホールとなっている。その在庫数は全国のTSUTAYAのなかで最大であり、音楽タイトルは約35万枚、映像タイトルは約20万本とされる。

「音楽でも映像でもまだネット配信サービスが普及していなかった2000年代、渋谷ツタヤは若者のみならず幅広い年齢層の客を集め、金曜夜や土曜の午後には横にずらりと並んだレジの前に長蛇の列ができる光景がみられた。2010年代の前半頃まではかなりの集客力をみせていたが、10年代後半に入ってから徐々に客が減り、コロナ禍にとどめをさされたという印象」(小売業界関係者)

 そんな状況に運営元のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)も手をこまねいていたわけではない。2020年にはレンタルフロアをリニューアルし、音楽タイトルではサブスクリプション音楽配信サービスで未配信のタイトルを拡充させ、「ニューミュージック」「昭和歌謡」ジャンルを強化。映像タイトルでは未DVD化映像作品を含む約6000タイトルのビデオテープを導入するなど、攻めの動きを見せていたが、目立った集客力の向上効果はみられなかった模様。

「映像タイトルは話題の最新作が大量にそろっているのに加え、渋谷ツタヤでしかレンタルされていない映画も多く、また国別・ジャンル別・監督別などしっかりと棚に分類され、かつ多数の作品が並べられており、コアな映画ファンを惹きつけていた。音楽CDも、若者がカゴいっぱいに入れて店舗内を回る光景もみられた。その意味で、映画好き、音楽好きの人々にとって、渋谷ツタヤが果たした功績は非常に大きく、その点は評価されるべき。ただ、今では各種配信サービスでも古い作品がラインナップにどんどん加えられ、PCやスマホでいつでも手軽に見られる環境になり、そこにユーザが流れるのは避けられない。ある意味、渋谷ツタヤは時代の移り変わりとともにその役割を終えたということだろう」(マーケティング会社プロデューサー)

 また、映画業界関係者はいう。

「20年以上前、大きなレンタルショップがない地方から大学進学に伴い上京してきて、初めて渋谷ツタヤに足を踏み入れたときの感動は忘れない。映画好きの先輩や同級生から薦められた古い映画を借りるため、毎週のように渋谷ツタヤに通っていた。うろ覚えだが、レンタルCDコーナーには効果音などのCDもたくさんあり、当時はまだプロの映像関係の人なんかも深夜にそうしたCDを大量に借りに来ていた気がする。ここ数年は渋谷ツタヤに限らずレンタルショップには行っていないが、私のように映画業界に身を置く人間ですら行かなくなったということは、やはり客は減っているのかもしれない」

「新しい店舗として新しく生まれ変わるので、ご期待下さい」