近年注目を集めている生成AIをはじめ、人工知能の進化に驚いている人も多いだろう。AIの進化によって人間の仕事がなくなるという話もある中で、私たち人間はAIをうまく利用しながら、人間特有の人間特有の能力を使った仕事に注力することが重要となる。
『仕事がなくなる!』(幻冬舎刊)は、伊藤忠商事名誉理事で公益社団法人日本中国友好協会会長の丹羽宇一郎氏による一冊だ。本書では、AIに使われるのではなく、AIを使うために必要なものは何か、環境が劇的に変わっていく中で仕事のスタイルはどう変わらざるを得ないのかなど、いかなる場所も時間も超え、普遍的な仕事の絶対値を探りつつ、AIが持ちえない人間独自のものに注力する方法を紹介している。
人は年齢を重ねると保守的になり、変わることを怖がる傾向がある。若い頃に比べて好奇心が薄れてしまうため、新しいことを知ろうとする意欲が減ってしまうからだ。だが、ITやAI技術の進化により、一つのスキルで一生働けるような時代は終わった。何歳になろうが、退職間近になろうが、誰もが新しいことを取り入れていかないといけなくなったのだ。
そんなときに求められるのは、変わることを恐れたり、面倒くさがったりせず、変化することに意欲を持てるかどうか。この意識の差が取り返しのつかないほどの大きな実力の差になってしまう。新しいことを知り、常に変化を楽しむ姿勢が大切なのだ。
また、AIになく、人間にあるものが直感だと丹羽氏。直感は先入観を持つこともなく、純粋に対象をとらえるので、当を得やすい。しかし、仕事では、直感だけで物事を決めるわけにはいかないだろう。そこで必要なのは、直感の判断を裏づける分析やリサーチを重ねたり、組織内で話し合うことだ。直感と思考、そのどちらかに偏るのではなく、両方ともうまく連動させて判断することが重要になる。
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変化が早く、新しいことや働き方についていけなくなってしまっては、仕事も居場所もなくなってしまう。現状維持の働き方ではなく、AIをはじめとした新しいものや変化を恐れずに、楽しみながら取り入れていくことが必要だということを教えてくれる一冊だ。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。