勤続10年のパート社員より新入りが時給高い…非正規雇用者内「格差」の残酷な理由

「残酷な話ですが、たとえ何十年も勤続したとしても、時給アップに見合う能力がなければ、昇給させることは難しいです。新しいスタッフの時給が高くてギャップを感じる方は、もしかしたら会社からしてみれば生産性が低く足枷になっている、という事情もあり得るかもしれません。そのため、企業としてはあえて時給を上げないままにして、そのまま自主退職させる動機付けを与えている可能性もあります。

 もちろんアルバイト・パートの能力を正当に評価せず、コストカットを第一に考え、時給を上げない企業もあるでしょう。また疾患などの事情でほかの企業で働けない人をカモにし、都合が良いように雇う悪質極まりない企業もあるでしょう。ですが原則として給与アップは、個人の成長度合い、会社への貢献度で決定しますので、成長が見込めないスタッフに関しては非情な対応を取ることもあるのが現実です」(同)

 企業が「使えない」と烙印を押したアルバイト・パートへの風当たりは強そうだ。『あさイチ』内でも「『パートさん』という呼び方で名前で呼んでくれない」「パートは言われたことだけやっていればいい」などの声が寄せられていたが、一度ネガティブなイメージを植え付けられたアルバイト・パートの労働者は、その後もずっと会社内で蔑まれるということも考えられる。

「明らかに正当に評価されていない、もしくは自分に合わない職場である場合は、ほかの企業に転職することが最善策です。賃金を上げてほしいと要求しても断られ、労基署(労働基準監督署)やブラックバイトユニオンなどの第三者機関に訴えたとしても、違法性が確認できない限り、問題解決に向けては動いてくれないでしょう。仮に訴えが通ったとしても、労力とコスト、時間がかかりすぎてしまって得策とはえません。

 また、その仕事が根本的に自分と合わない業種、業態だったら思い切って、異業種にチャレンジするのもひとつの手です。資格を取得するなどして市場価値を自分で作っていければ、働き先の選択肢も広がり、給料のアップも見込めます。これからはリスキリング(新しいスキル取得のために自学すること)の時代ですので、『自分にできるのはこんな仕事ぐらい』なんて思わず、積極的に学ぶ姿勢を忘れずにいることが、納得のいく給与を得るためには重要なのではないでしょうか」(同)

(取材・文=A4studio、協力=中谷充宏/M&Nコンサルティング・センター長)