快活CLUB、ドリンクバーも有料化へ…ウリの無料サービスを次々と有料化の狙い

 より直接的な原因と考えられるのが、近年の円安やウクライナ問題に関連した人件費の高騰、物流コストの増加です。特に、無料モーニング廃止やソフトクリームのシロップ廃止など食品系にまつわるサービスの制限は、食品系が物流コストの影響を強く受けているからでしょう」(同)

 こういった人気サービス廃止の影響で、大量のファンが離れてしまっては本末転倒ではないのか。

「確かに、人気サービス廃止で不満の声は漏れても、それで離れる顧客は少数でしょう。依然、設備や清潔度、店舗数の多さからくる利便性の良さでは、他の追随を許していませんからね。また運営側としては、多少離れるファンがいたとしても、節約できる経費と天秤にかけたときに、廃止していったほうがメリットは大きいという判断だったのだと思います。

 サービス廃止に批判的な声もあげる層がいることも理解はできますが、個人的には、これまで快活CLUBが行ってきた多くの無料サービスなどは、異例の手厚さだったように思います。後発で業界に参入したため、認知度を上げて顧客を囲い込むための“期間限定サービス”的な側面もあったのではないでしょうか。現在は盤石の業界1位になり、さらにコスト増加も重なったことから、このタイミングで過剰だった各種サービスを廃止し始めたというのは、適切な経営判断といえるでしょう」(同)

 なるほど。一部ファンから不満の声があがるのは織り込み済みで、デメリットよりもメリットが大きいというジャッジを下していたわけか。今後、快活CLUBのサービス、そして業界内の地位がどう変化していくのか、展望を伺った。

「これまでの快活CLUBは、メインターゲットだった10代から30代向けのサービスを行ってきたように思えます。ですが先述のスマホ普及による客足の低下、加えて高齢化社会が到来するという社会変化を鑑みると、いつまでもこうした若い層だけに向けたサービスを提供するのではなく、今後は中高年層をメインにしたサービスを展開していくのではないでしょうか。

 AOKIは『FiT24』という24時間営業のセルフ型フィットネスクラブの事業も展開しています。中高年の健康管理需要を紐づけて、快活CLUBの店舗にFiT24を併設したり、快活CLUBを利用することでFiT24をお得に利用できるサービスを付与するといった方向に、舵を切っていく可能性もありそうです。

 業界内の地位ですが、そもそも競合といえる大型ライバルチェーンがないので、大きな変動はないでしょう。ネットカフェ事業の本質は“空間を提供する”ということで、自宅以外の場所で気軽にくつろげることに価値があるのです。そのサービスの根幹を守っている限り、大きく低迷するようなことはないと思います。現在、快活CLUBをテレワークに使う人も増えているようですが、こうした需要の変化に素早く対応できるというのもAOKIグループの強みといえるでしょう」(同)

 各種サービスを廃止し、不満が続出していたことは事実のようだが、経営戦略としては英断ということなのかもしれない。業界王者の地位は、まだまだ揺るがなさそうだ。

(文=A4studio)