C++とJavaのニーズの割合が多少変動しているようだが、大局的に見れば、各分野によって求められる言語は異なってくるのだという。
「たとえば、MacやiOSのようなApple系のアプリ開発をする人は、Appleが独自に開発した『Swift』をマスターしておくと便利。またゲーム分野で活動する人は『C♯』、ハードウェア関係のアクセス、メモリーの管理まで自分で賄いたい人は『C』といった具合に自分が活動したい分野、作業したい環境によって勉強すべき言語は変化します。
IT業界全般を見ても、どの言語のニーズが高まっているかは、分野ごとに事情が異なっています。また所属する企業や受注する案件によっては、自分の学びたい言語を選べない環境にあることも考えられるので、プログラマーによって言語の習得にばらつきがあることはご理解ください。したがって、ランキングの結果から何の言語を学ぶべきか考察するのは少々難しいんです」(同)
だが、あえてプログラミング初学者におすすめするならば、Pythonは学んでおいても損はない言語だという。
「汎用性の高さ、効率的に学習できるという点でPythonは優秀です。現在ホットなAIやIoT(モノとインターネットを接続して操作できるようにするテクノロジー)といった分野では、Pythonプログラマーの募集が多く、ニーズも大きい。そして何より、Pythonはライブラリ(汎用的なソースコードを保存する場所)が充実しており、勉強するときに参考にしやすいのが最大のメリットです。
ライブラリを参考にしながら学習すれば、プログラムを断然組みやすくなるので、初学者からすると心強いでしょう。しかもPythonは、ソフトウェア開発のプラットフォームである『GitHub』にもライブラリが大量に保管されており、またユーザー数も多いことからすぐに情報を取得しやすいのでおすすめです。
また日本発のプログラミング言語にこだわるなら、日本人のまつもとゆきひろ氏によって開発されたRubyを勉強するのもいいかもしれません。プログラミング言語は、そのほとんどが海外産なので、サポートやマニュアルが日本語対応していないケースがほとんど。その点、Rubyは純日本製の言語ですので、英語が苦手な人には安心感が強いかもしれません。」(同)
初学者はPythonを学んでおけばハズレはなさそうだが、それでも1つか2つの言語に固執することなく、業界の言語ニーズ動向は常にウォッチしておく必要がありそうだ。
「時代によって求められる言語が変わるのは、先ほど申し上げたとおりです。歴史的に見ても、インターネットが発達してからはプログラミングの主戦場はウェブへと変わり、その後スマホアプリの開発ニーズが高まりました。そして、AIやロボットなど、その都度重宝されるプログラミング言語も変わってきているので、今回のJavaとC++のように業界全体のニーズが変化する可能性は当然あります。ですから『どの言語を学んでおけば大丈夫か』という考え方ではなく、『自分がどの業界で活躍したいか』を考えることで、学ぶべき言語が見えてきます。また、ビジネスで考えた場合は、業界全体に対する感度を高くし、将来的にどの言語にニーズが集まるのか情報収集して推測することが大事です。それでも心配な人は、とりあえず初学者のうちにPythonを学んでみて、徐々に今現在ニーズが高いC++やJavaの使い方を学んでいく流れがスムーズかもしれませんね」(同)
(取材・文=文月/A4studio、協力=神崎洋治/ITライター)