「SE業界は、システムやプログラム言語が日々進化していく業界なのですが、最新の技術を勉強・吸収する時間がなかなか取れなくなる。金融商品の価格変動をリアルタイムで追跡したり高速で取引を行うシステムを開発したりするなど、高度な技術力が求められる外資系証券会社では、変化の波についていけないとあっという間にお払い箱になって解雇されてしまうこともあるのです。以前から業界には『SEは35歳で定年』なんて冗談半分の言葉が広く知られていますが、それが割と現実味を帯びやすいのが外資系企業のSEなのかもしれません」(同)
目先の報酬額だけで転職を決断するのではなく、中長期的な視点で考えるべきなのかもしれない。
「日本の企業であれば終身雇用の傾向がまだまだ強いので、メガバンクの子会社なども長期的な雇用が期待できますし、年月を重ねるごとに給与が上がっていく可能性も高いでしょう。勤務年数がまだ短い20代の時点での月給を比べると歴然とした差があるように感じられるかもしれませんが、そこだけで切り取って比較しまうと少々誤解を招くのではないかと思いますね」(同)
しかし、日本企業に勤めるSEたちが、高給に釣られて外資系企業に流出してしまう事例は増えていくのだろうか。
「今回の投稿主の方のようなケースは珍しく、そういった事例が増えていくとは考えにくいです。メガバンクの子会社というのは就職前からどういう労働環境なのかがわりとわかる仕事ですので、長期的な成長と安定を求めて入ってくる人が多いはずです。そこから短期的視点で高給を稼げる外資系の証券会社に転職するというのは、せっかく得た安定を捨てるという選択になるでしょうからね」(同)
メガバンク子会社に残るのも、外資系証券会社に転職するのもメリット・デメリットがあるため、どちらが正解かはその当人の価値観によって変わるのだろう。いずれにしても、充分に吟味して後悔のない選択をしてほしいものである。
(文=A4studio、協力=曽和利光/人材研究所代表)