では今回、青森県と秋田県でSuicaの利用が可能になった背景には何があるのか。
「近年ではキャッシュレス化の進展で電子マネーとしてSuicaを使える店舗が増え、公表はされていませんが、JR東日本など鉄道会社に入るこれらICカード乗車券の決済手数料収入の増加によって導入へのハードルは下がりました。一方で、紙の乗車券はコストが安いとはいえ、回収した磁気乗車券の廃棄または再利用のコストは無視できません。加えて、近年、金融機関各社では大量の硬貨を預金口座に入金する際に手数料を徴収することとなったため、鉄道会社各社はキャッシュレス化を推し進める必要が生じたことも確かです。
そうは言っても依然としてSuicaの導入費用が負担となる鉄道会社は多数存在します。この間隙を縫ってQRコード決済やICクレジットカードによるタッチ決済といったサービスを競合各社が鉄道会社に提案中です。ICクレジットカードによるタッチ決済は南海電気鉄道や福岡市地下鉄で実証実験が行われており、Suicaの強力なライバルとなることでしょう」
(文=Business Journal編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)