大手が寡占状態のVTuber、その盛り上がりはいつまで続く?新規参入のポイントとは

 このような交流イベントの相場は2分で5000円ほど。「あおぎり高校」の場合、1万円払えば自分が推している大好きなタレントと1対1で30分通話ができるという破格のコンテンツだったという。

 「ファンクラブを始めた頃は、全体の売上の半分を占めていたキラーコンテンツでした。現在はその他のボイスやグッズ、スパチャ、広告収益が伸びて収支が安定したことと、『あおぎり高校』の規模が大きくなって、演者さんの負担が重くなっていたために打ち切っています」(同)

 「あおぎり高校」は、ボイスコンテンツの販売やファンクラブの運営を軸に据えながら、所属VTuberの配信チャンネルを個々に立ち上げて、少しずつファンの数を増やしていった。そこで藤井さんが新しく着手したのが「ショート動画」だ。

 ショート動画とは、InstagramのStories(通称はストーリー)やTikTok(ティックトック)などによって若年世代に爆発的に普及している、縦長の構図が特徴的な15秒~2分程度で終わるショートムービーのこと。

 「YouTubeが縦長のショート動画に力を入れ始めたのが約1年半前。その勢いをうかがいながら、『あおぎり高校』も2021年12月頃からショート動画に着手し、『VTuberあるある』シリーズが大ヒットしました」(同)

 ショート動画は再生時間が短いため、広告などを挟む余地はほとんどない。しかし、“集客力”は抜群で、ショート動画を配信している「あおぎり高校」の公式チャンネルは、1年で20万人から60万人へと登録者数を伸ばした。

 さらに、ショート動画で興味を持った新規のファンが、あおぎり高校の公式チャンネルから各VTuberの個人チャンネルへ流れていく好サイクルも生まれたという。

 「正直、大手とは資金や人員、経験に差があり、真っ向から戦うだけ無駄だと考えています。しかし、VTuberという狭い界隈で捉えるのではなく、YouTubeや動画配信サービスの一環と捉えていけば、まだまだ取れるパイは残されていると思います。私たちにしかできないサービスやコンテンツを提供していけば、衰退することはないんじゃないでしょうか」(同)

 既存のVTuberというイメージに固執せず、ファンの期待を良い意味で裏切れるクリエイターたちが次々と現れてくれば、まだまだVTuber市場は広がっていきそうだ。