JR北海道では既存路線の維持も難しくなってきている。22年6月にJR北が公表した21年度の道内線区別収支と利用状況では、100円の収入を得るためにどれだけの費用が必要かを表す「営業係数」(管理費を除く)が根室線(富良野~新得間)は2512円、留萌線(深川~留萌間)は1903円、次いで根室線(滝川~富良野間)が1731円、室蘭線(沼ノ端~岩見沢間)で1135円となっており、赤字を垂れ流しながらも運転を続けている現状がある。
このうち留萌線は大雪のため今年1月28日から運転を取り止める事態となっており、2月6日には運転を再開したが、一部からは「路線を見捨てようとしている」「このまま留萌線の廃止まで運休し続けるのでは」などと厳しい言葉がJR北海道に投げかけられ、同社に対する風当たりが強いことを感じさせた。留萌本線の石狩沼田―留萌間は今年4月1日に廃止。残る深川―石狩沼田間は26年に廃止される見通しだ。
このように道内の路線でさえ赤字続きであり、正常な運行もできていない。ただ運行については天候の影響もあるため一概には指摘できないものの、赤字続きの路線を放置したまま収益も見込めない新幹線を通す意味はあるのだろうかと疑問を呈したい。道内路線の収益状況は全体として厳しいといわざるを得ない。どうしてこのような状況になっているのか、そして、どうして北海道新幹線では「収益が出ないのか」という懸念について、もう一度最初から考え直す必要があるのではないか。今後の動きに注目したい。
(文=小林英介)